「金農旋風」で農家に希望を 当時捕手→秋田県職員が後輩にエール
6年ぶりに旋風を 母校に熱視線
全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)に出場する金足農業高校(秋田)が9日、西日本短大付属高校(福岡)との初陣を迎える。金農に熱視戦を送るのは6年前の“金農旋風”の立役者、吉田輝星投手(オリックス)の女房役としてチームを支えた当時の捕手、菊地亮太さん(23)。金農で習得した測量技術を生かし、現在は秋田県職員として、農地の整備や農業水利施設の補修などに携わる。 【画像】吉田輝星投手と共に活躍した6年前の菊地さん 菊地さんは6年前の金農旋風の渦中、痛みと闘っていた。吉田輝星投手が地方大会と夏の甲子園含め投げた計1517球を1人で受け続けていたからだ。「毎試合、手が腫れあがっていた。特に左手人差し指の付け根がひび割れ、我慢との闘いだった」と振り返る。 それを支えたのが、大阪の宿舎での食事だった。持ち込んだ秋田県産米「あきたこまち」を毎日食べ試合に臨んでいた。「決勝まで戦えたのは、食べ慣れた『あきたこまち』のおかげ」と強調する。 菊地さんは今夏、仕事の合間を見て母校をチェック。決勝は球場まで足を運んだ。金農の強さは、エース吉田大輝投手(2年)の存在だけではない。「以前に比べ打てるようになった。初戦はいい緊張感を持って戦ってほしい」とエールを送る。 秋田県は2年連続で大規模水害が発生、甚大な農業被害に遭っている。菊地さんは、被害状況を確認する仕事にも従事。それだけに「金農が甲子園で活躍することで、被害に遭った農家に勇気や希望を与えられると思う。できることなら、僕たちがかなえられなかった全国制覇を成し遂げてほしい」と、金農ナインに思いを託す。
日本農業新聞