うちの子も私立中学を受験させたのですが、高校みたいに「無償化」みたいな制度はないのでしょうか?
子どもを私立中学に進学させるとなると、学費の負担をどのようにクリアするのかに頭を悩ませる家庭は多いのではないでしょうか。「高校のように無償化制度があればよいのに」と思っている人もいるでしょう。 そこで本記事では、私立中学校の学費が実際どれだけかかるのかを紹介するとともに、私立中学校の学費負担を軽減する制度にはどのようなものがあるのかを解説します。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
私立中学校の学費は公立中学校の数倍必要
「私立中学校の学費は高い」というのが一般的なイメージですが、具体的にはどのくらいかかるのでしょうか。文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」の結果によると、私立中学校、公立中学校で子ども一人にかかる学校教育費の総額と内訳は図表1のとおりです。 【図表1】
文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」より筆者作成 公立中学校の合計額が約13万円なのに対して、私立中学校では約106万円と、8倍以上の金額が必要という結果です。私立中学校では、公立中学校ではほぼかからない入学金等や授業料が必要なことが、必要な費用額を押し上げています。
私立中学校の全国的な無償化制度はない
公立中学校と比べて費用負担が大きい私立中学校ですが、残念ながら高校のような授業料を無償化する全国的な制度はありません。 平成29年度から令和3年度にかけ、「私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業」として、国が支援金10万円の支給と義務教育で私立学校を選択する理由や家庭の経済状況などの実態調査を行っていました。しかし、今後、私立中学校に子どもを通わせる家庭を対象とした全国的な支援制度が創立されるかどうかは未定です。
私立中学校の学費負担を軽減できる制度は?
私立中学校の学費について、負担を軽減する制度が全くないわけではありません。各都道府県が実施している助成制度や、各私立中学校が設けている入学金減免、特待生、奨学金などの制度を活用することで、負担の一部を軽減することが可能です。 住んでいる自治体や入学する私立中学校に条件に合う制度がないかどうか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。 ■各都道府県の助成制度 各都道府県が実施している助成制度は、自治体によって金額の支給方法や対象者が異なります。また、制度の有無も自治体によって異なりますので、確認しておきましょう。例えば、次のような制度があります。 ●無条件で助成金を受け取れる制度 ●経済的困難な家庭に修学費用(学用品費、通学用品費、校外活動費、修学旅行費、給食費など)を援助する制度 ●家計急変世帯を支援した学校に対してお金を給付する制度 例えば、東京都では所得制限を設けずに都内在住の生徒・保護者に対して最大10万円を授業料負担の支援として支給しています。 ■各学校の入学金減免制度・特待制度・奨学金など 各私立中学校が独自に、授業料の減免・軽減制度や特待生制度、奨学金制度を設けている場合もあります。多くの場合、成績優秀者や経済的な困難を抱える家庭の生徒を対象としており、なかには授業料を全額免除する制度を設けている学校もあるようです。 受験前に資料を取り寄せるなどして、申し込める制度の有無や申し込み時期などを確認しておくとよいでしょう。