神宮外苑再開発で「100年の森」内苑樹木と混同か…都知事選争点も事業見直しは困難
■「争点でない」
「争点になると言ったが、なりません。なぜなら今、立ち止まっているからです」。小池氏は19日の共同記者会見で、再開発は「いったん立ち止まる」べきだと主張する蓮舫氏に、こう気色ばんだ。
再開発事業は、都が昨年2月に施行を認可し同3月に着工。同9月、都は事業者側に対し、樹木の伐採前に保全策を提出するよう要請した。
保全策は今も未提出で、他の工事は進んでも樹木が伐採されていないことから、小池氏は「立ち止まっている」との認識を示す。ただ、蓮舫氏はすでに実施された環境影響評価(アセスメント)などの再検証を公約に掲げ、工事全体を見直すことを示唆している。
アセスメントの再実施については、都の環境影響評価条例で、樹木保全策の内容が「環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるとき」に求めることができると定められている。
都幹部は「条例にある『著しい影響』は、新たに構造物が見つかるなど想定外の事態が発覚した場合のことだ。恣意(しい)的に解釈すれば手続き上は可能でも、職権乱用のそしりは免れない」と指摘。保全策が提出されれば、誰が新たな都知事になっても、伐採を止めることは法令上難しいとの認識を示した。
再開発事業を巡っては、無所属新人で前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)は「広く街づくりの発想として人と自然の調和は重視していくべきだ」、無所属新人で元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)は「神聖なものはできるだけ残して、もとの形を守っていった方がいい」との認識をそれぞれ示している。(楠城泰介)