信長、秀吉、家康所蔵の茶入など茶道具の名品を一挙公開『眼福―大名家旧蔵、静嘉堂茶道具の粋』静嘉堂@丸の内で
2024年9月10日(火)より、静嘉堂文庫美術館では、『眼福-大名家旧蔵、静嘉堂茶道具の粋』が開催される。静嘉堂が丸の内のギャラリーに移転して初めて、静嘉堂としても8年ぶりとなる茶道具展だ。 【全ての画像】重要文化財《油滴天目》 ほか広報用画像(全19枚) 三菱第二代社長・岩崎彌之助(1851-1908)とその嗣子で第四代社長・岩﨑小彌太(1879-1945)によって収集された静嘉堂所蔵の茶道具コレクションは、今日、約1400点にのぼる。彌之助は明治17年(1884)に、信長、秀吉、家康が所蔵した茶入《付藻茄子》と《松本茄子》を、明治21年(1888)に、仙台藩主伊達家所蔵の茶道具を一括購入するなど、好機を逃さぬ購入でそのコレクションを充実させ、小彌太は茶道具の中に伝えられた中国陶磁の名品を収集した。 将軍家や大名家旧蔵、あるいは著名な茶人たちの愛した茶道具の名品を紹介する同展の見どころは、まずは唐物、高麗、樂、和物(国焼)と、多彩な茶碗の数々だ。中国建窯で焼かれた曜変、油滴の名品や、朝鮮半島でつくられた高麗茶碗の優品、轆轤を用いない「手づくね」による樂焼茶碗の温かみのある造形や色合いを、思う存分楽しむことができるだろう。 また、前述の茄子茶入を含む「大名物」の茶入全7点と、江戸時代後期の大茶人・松平不昧が小堀遠州時代の茶入として評価し、「中興名物」と名付けた日本製の茶入全5点の公開も見逃せない。 さらに引戸に猿曳の絵が描かれていることから「猿曳棚」と呼ばれる、茶道具においては珍しい棚4点の紹介も注目だ。戦国時代の茶人・武野紹鴎が好み、伊達家茶道頭・清水家に伝わった猿曳棚は、狩野派の絵師が図柄を描いた複数の「写し」が制作された。そのなかのひとつが、今回初公開となる、明治時代に橋本雅邦が描いた可能性がある棚だ。 講演会や学芸員によるスライドトークなど関連イベントの詳細は、同館ホームページで確認を。 <開催概要> 特別展『眼福―大名家旧蔵、静嘉堂茶道具の粋』 会期 : 2024年9月10日(火)~11月4日(月・祝)※会期中一部展示替えあり 会場 : 静嘉堂@丸の内