強気と破天荒が演じた完投劇 福岡大大濠バッテリー 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第3日の22日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦があった。センバツでは史上初となる九州地区勢同士による初戦が行われ、福岡大大濠が大崎(長崎)を降し、敗戦した昨秋の九州大会決勝の雪辱を果たした。福岡大大濠は大会第7日第2試合の2回戦で、具志川商(沖縄)と対戦する。 「強気」なエースを「破天荒」な捕手が支えた。1点差に迫られた七回2死一、二塁。福岡大大濠の捕手・川上は、大崎・村田への初球でわずかにリードを広げた二塁走者の姿を見逃さなかった。捕球後、素早く二塁へ送球しタッチアウト。「破天荒」の言葉が好きという川上のビッグプレーで反撃の芽を摘んだ。 「本当に頼れる」と手放しで喜んだのがエース左腕の毛利だ。普段は川上のサイン通りに投げるが、直前の2死一、二塁のピンチで強気の性格があだとなりチェンジアップのサインに首を振り、直球を投げて中前適時打を浴びていた。 傷口を最小限に防いでベンチに戻ると、2人は直球が狙われていることを確認し合った。以降は変化球主体の投球に切り替え、八回はチェンジアップで空振り三振を奪うなど3者連続三振。相手に流れを渡さず九回も3者凡退に仕留め、10奪三振で1失点完投。昨秋の九州大会決勝では登板せず、下級生が打たれて負けただけに、毛利は「やり返す気持ちだった。うれしい」と胸を張った。 前回出場した第89回大会(2017年)は、右腕・三浦と強肩強打の捕手・古賀のU18(18歳以下)日本代表にも選ばれたバッテリーを中心に8強入りした。八木監督は「今の2人の方が強気な部分が垣間見える」と個性を評価する。 我を通したことが裏目に出て完封を逃した毛利だけに、八回以降は川上のサイン通りに投げたのかと問うと「多分、そう(思う)」と曖昧な答え。1度のミスで強気が隠れる性格ではなかろう。初の甲子園でも、「背番号1」は肝っ玉が据わっている。【安田光高】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します