スペイン女子サッカー1部の下部組織に加入 長崎出身・松尾瑠樹レイラニ 自らの可能性を信じて
自らの可能性を信じて世界への一歩を踏み出した。松尾瑠樹(るうな)レイラニ(広島AICJ高3年、長崎市出身)は今月上旬、高校卒業を待たずにスペイン女子サッカーリーグ1部の「レバンテ・ラス・プラナス」の下部組織(U-19)に加入。「今の自分があるのは関わってくれた指導者や支えてくれた人たちのおかげ。結果で恩返しして、トップチームに昇格する」。決意を胸に海を渡る。 2011年にドイツで開催された女子ワールドカップ。初優勝を飾った日本の主将で絶対的エースだった澤穂希に憧れてサッカーを始めた。諏訪小2年から、夢中になってボールを追いかけた。 卒業後は「もっとレベルを上げたい」という思いを家族で共有。一家転住した福岡市のクラブチームに入ると、トップ下としての攻撃センスを評価され、3年時に九州選抜に選ばれた。 だが、当時はコロナ禍の真っただ中。思うように活動ができなかったため、練習相手や場所を探して努力を続けた。そんな自ら考えながらの日々は成長を促した。「プレーの幅が広がった」。的確なポジションを取り、味方を動かすという現在のプレースタイルの土台を築いた。 卒業後は各地の高校から誘いもあった中、いずれは「海外でサッカーしたい」とサッカー強豪校で英語教育に力を入れている広島AICJ高に一般入試で入学。だが、そこで待っていたのはハイレベルなレギュラー争いだった。1年時は故障もあってベンチにすら入れず、ユニホームをもらえるようになっても、名前を呼ばれるのは同級生の中で最後。でも、自らの立ち位置が分かって、逆に燃えた。「失うものはない。はい上がるだけ」。また、努力の日々を続けた。 手応えを感じたのは今年2月、知人の紹介でレバンテU-19の練習に3週間参加してから。途中からはトップチームに呼ばれるほど評価された。身長158センチと小柄ながら、大きい相手に当たり負けしない体幹の強さ、周囲を生かす視野の広さやスルーパスの精度-。練習参加最終日、正式にU-19加入が決まった。 レバンテから即時加入を促されたため、8月に迎えた18歳の誕生日にビザ(査証)を申請。本格的な海外挑戦が決まった。これまで以上の高い壁ではあるが、今夏のインターハイ8強入りに貢献するなど、一つ一つ乗り越えてきた。 シーズンは9月に開幕しており、途中加入になる。「でも、自信を持ってやっていきたい」。ハワイで生まれて、長崎で育った18歳は、また次の壁を越えに行く。