NIGO率いるケンゾーがVERDYと再びコラボレーション──ホリデーシーズンを祝う「KENZO VERDY MARKET」を開催!
2024年のラストを飾る「KENZO VERDY MARKET」という花火。これはケンゾーを手掛けるNIGOとグラフィック・アーティストであるVerdyとのタッグによるコラボレーションだ。以前から共作を続けてきた二人の到達点には一体どんな道のりがあったのか? コラボレーションの内側を独占インタビューから垣間見る。 【写真の記事を読む】コラボレーションアイテムをチェック!
NIGOがアーティスティックディレクターを務めるケンゾー。最新コレクションにおいても話題を集めたグラフィック・アーティストのVerdyと魅せたコラボレーションだが、ゴールデンタッグは、さらなる熟成を遂げて2024年のウインター・ホリデーにおける特別なコレクションをもたらした。「KENZO VERDY MARKET」と銘打つクリスマスシーズンの取り組みでは、NIGOとVerdyの豊かな感性と遊び心を取り混ぜたウエアにはじまり、ハットやキーホルダーなどのグッズ、そしてスノードームといった季節感あふれるハッピーなアイテムが多彩に打ち出される。 これら商品は11月19日(火)からkenzo.comにて先行発売され、11月20日(水)から世界中のブティック、主要アパレルショップにて展開。またこのイベントを祝して、阪急うめだ本店ポップアップサーカスやドバイモール、パリのギャラリーラファイエット、香港IFC等で特別なポップアップイベントが開催中だ。そんな年末の一大イベントとも呼べる「KENZO Verdy MARKET」。一連のアイテム作りや世界観の構築等は、気鋭のクリエイターの間でどのように決定し共有され具体化に至ったのだろう? 物作りのプロセスや制作スタイル、そしてコラボにおけるエピソードを、イベントに先立ち本人たちに訊いた。 今回行われる「KENZO VERDY MARKET」ですが、アイテム全体のデザインだけでなく、映像や楽曲、そして背景まで一貫したテーマ性を感じます。いつの時期から構想がスタートしていたのでしょう? NIGO ケンゾーのクリエイティブを僕が手掛けるようになり、当初はあえてコラボ的なプロジェクトを封印していました。新しいディレクターとして、ブランドの方向性をしっかり見せていくことがまずは重要と考えていたので。そのベース作りがある程度のレベルに進み、さらなる展開を考える段階の割りと早い時期に、Verdy君との共作を意識しました。コラボをするならVerdy君しかいないだろうと。ですので、1年くらい前から彼には相談を持ちかけて準備をしてきました。 「KENZO VERDY MARKET」では、多種多様なアイテムやムービー、それに楽曲が融合して展開します。そういったアイディアはどちらが主導するのでしょう? Verdy 必ずどちらからという決まりはなく、お互いに話しているうちに、構想がまとまっていくことが僕等の場合は普通です。ただNIGOさんからのアイディアに僕が肉付けをして、さらに二人で仕上げていくことも幾つかありました。 「KENZO VERDY MARKET」では“クリスマスマーケット”や“キオスク”などのイメージがベースコンセプトとなっています。これはどちらからの発案になりますか? NIGO 僕がキオスク的な存在を気に入っていて、今までもそういった“売店”風なデザインを、自身のクリエーションに取り入れた経緯があるんです。僕のなかではキオスクが持つバラエティ性に日本的なエッセンスを感じており、これをクリスマスマーケット風にアレンジしたら面白いと考え、Verdy君に相談しました。 Verdy ただ、デザインしたキャラクターがクリスマス由来かというと、そういうことではありません。ケンゾーのレガシーにあるアイコンのなかで、僕が特に気に入ったものをピックアップし自身のデザインに落とし込みました。Winky the Tiger(虎)、Deezy the Flower(花)、 Bimpy the Elephant(象)を軸に、冬らしいグラフィックを重ねたところ、非常に相性良く仕上がったと思っています。 今回のマーケットではウエアからグッズまで、幅広いバリエーションが用意されています。お二人それぞれに、お気に入りのアイテムなどありますか? Verdy 個人的には今までに試したことのないプリントや刺繍を使ったウェアが印象的。コレクションショーでもファレルが着たような、総柄ジャケットにも用いられた手法を引用しています。ケンゾーというメゾンブランドだからこそ実現できた特別なクオリティは、ぜひ多くの人に見てもらいたいですね。 NIGO Tシャツのプリントにしても手法が違うんです。そういったこだわりという意味では、個人的にこの「Winky the Tiger」のバックパックがお気に入り。イタリアのファクトリーで作りましたが、ディテールは数回試行錯誤を重ねています。Verdy君のグラフィックにはかねがねリスペクトを持っていたので、それを忠実に立体化させることにフォーカスしました。 Verdy 僕の作るビジュアルは2Dがメイン。それを3Dにアレンジするとイメージが変わってしまうことが少なくありません。ですが、このバックパックはかなり秀逸(笑)。 参考商品。 実際にこのバックパックを使ったりする予定はありますか? NIGO 連れて行きますよ。 Verdy 僕には今、2才の子供がいるのですが、多分持って帰ったらすぐに取られてしまいそう(笑)。 映像に関してもこだわりを貫いたとうかがっています。TVゲーム風のコンセプトはどこから生まれましたか? NIGO ムービーに関してはVerdy君からのリクエスト。デザインから制作まで全体的にお任せしました。 Verdy やはり、自分のデザインによるキャラクターが動き出すのはとてもワクワクするんです。今回のマーケットでは3つのキャラを軸としており、映像で見せることが一番効率的に世界観を伝えられるだろうとムービーを選択しました。 映像の制作はスペインのBOL社とのことですが、このセレクトには何か経緯がありますか? Verdy 今までも何度か自分のグラフィックを3Dアニメーションに起こす機会がありました。その際、日本のみならず世界の制作会社にオーダーしましたが、なかでも上手くいったのがBOL。最初はBeatsとの仕事であり、次にナイキのSBを手掛けたときにもBOLに依頼しました。同社の代表はストリートカルチャーに造詣が深く、身近な話題でも非常に自分とマッチします。だからイメージ共有もスムーズであり、今回の映像も納得のいくクオリティに仕上がりました。 「KENZO VERDY MARKET」はクリスマスシーズンの打ち出しということもあり、ギフトに最適なアイテムが揃っています。お二人においてギフト選びのこだわりなどあれば、ぜひお聞かせください。 Verdy 僕の場合は、やはり自分自身で作ったものを贈ることが多いですね。 NIGO 最近は何かを買ってプレゼントするということが、少し減ってきたかもしれません。 Verdy いや、NIGOさんのギフトはかなり特別ですよ(笑) 以前にNIGOさんからバドワイザーのミュージカンというトイをもらったことがあるんです。それが普通のミュージカンではなく、NIGOさんが自ら分解してカスタムを施した特別版。それは今もアトリエの棚に飾ってありますが、訪れる友人の多くが撮影していきます(笑) お二人のこだわりが詰まった「KENZO VERDY MARKET」。今回のコラボレーションを経て改めて得たことをご紹介下さい。 NIGO やはり、ケンゾーというプラットフォームにおいて、Verdy君と二人で物作りができたというのは、かなり印象深い事柄です。そしてそれが限定的な打ち出しではなく、グローバルに展開するということに特別な感慨を持っています。 Verdy 僕はNIGOさんと知り合う前から、インタビュー記事やNIGOさん関連の書籍を見て刺激を受けてきました。アーティストとして独立した後も、自身の制作はもちろん対外的なプロジェクトに関しても、NIGOさんのスタイルをひとつの手本としてきたのです。今では一般的な手法として確立していますが、グラフィックを音楽とリンクさせたり、いろいろなメディアと絡めてカタチにするNIGOさんの仕事は、やはり刺激を受けることが多いんです。今回もいろいろな場面で気付かされて、さらにリスペクトを感じました。 NIGO 自身のブランドHUMAN MADEのほか、企業などのクリエイティブ・ディレクターも務める。2022年にはルイ・ヴィトンからデザインを手掛けたコレクションが発売されるなど、多岐にわたりグローバルに活動中。2021年9月にケンゾーのアーティスティック・ディレクターに就任した。 VERDY 1987年生まれ、大阪府出身。VK DESIGN WORKS所属のグラフィックアーティスト。Wasted YouthやGirls Don ’ t Cryを筆頭に現代ストリートシーンを席巻するプロジェクトを数多く手掛ける。
写真・田川智彦 文・長谷川剛