スマホのように、1人1台のロボット…AI進歩で「夢物語ではない」近未来
人とロボットが一緒に暮らすうちに、人は、家族のように愛情を抱き、ロボットも人の感情や価値観を理解して動く日が来る――。菅野教授は、開発の延長線上にそんな未来を予想する。
AIの進歩によって、人の暮らしや社会のありようは、さらに変容する可能性を秘める。
野村総合研究所によると、世界のAI研究者約2800人への調査を基にした論文(2024年)では、今後10年以内に、〈ロボットが洗濯物を畳む〉〈小売店の従業員がロボットに置き換わる〉といった変革が50%の確率で実現する可能性があるとされた。野村総研の森健デジタル社会・経済研究室長は「2030年代にはAIの搭載されたロボットが、一部の肉体労働も担い始めるとの見方が多い」と話す。
研究者の間では、AIの近未来に楽観と悲観が交錯している。同論文では、68%の回答者が「良い結果の方が悪い結果よりも起こりやすい」とした。一方、「人類滅亡のような極端に悪い結果が起こる可能性がゼロではない」とする回答者も58%に達した。
AIによって暮らしの豊かさや経済成長、医療の進歩などが期待される一方、雇用の喪失や、偽情報の拡散による社会の分断、軍事への悪用といった懸念は根強い。
人間と会話しているかのような文章を生み出す生成AIが急速に広まってから2年余り。さらに進化を続けるAIは「ドラえもん」のように人を手助けしてくれるパートナーになるのか。それとも、人の知能を超え、人類の命運を左右する脅威になるのか。AI社会の近未来を展望する。