《本音炸裂》双子芸人・ダイタク「当時は千鳥さんで笑ったこと一度もない」「令和ロマンに“漫才”なら勝てる」【M-1直前特集 2杯目】
M-1決勝の本番まで残すところ1日。『1杯目』では、決勝が決まった時の心境、そして劇場で研鑽を積んできた「ダイタク漫才」の本質に触れた。芸人界でも酒豪で知られるコンビの『2杯目』は、決勝で披露するネタや漫才について、焼肉屋でビールをぐびぐび、タン塩を焼きながら熱く語ってくれた。
拓: というか、これ“焼肉問題”なんですけど……(カルビなどを注文すると、その付け合せとして付いてくる、シシトウや飾り切りされた人参、玉ねぎなどを指して)この野菜って要ります? ずっと異を唱えているんですけど、俺要らないと思うんすよね。結局焦がして食わない率の方が高くないですか!?俺が焼肉屋やるんだったら絶対につけないね。日本ってこういうところから変わっていかなきゃいけないと思うんだよな!! 大:そんなことねぇよ!色合い的に美しいだろ! 拓:食品ロスとかの時代に……。 大:ロスにならねぇから、なんだかんだちゃんと食べるから。
麒麟?聞いたことねぇ名前だな
──歴代のM-1チャンピオンで印象に残っているチャンピオンは? 拓:一番驚いたのは麒麟さん。高校1年生くらいのとき、部活終わりにチャリンコぶっ飛ばして急いで帰ったんです。家についてリビングに入ったら親父が「麒麟ってやつがおもしろかったな」って言うんですよ。麒麟?聞いたことねぇ名前だなって思って見たら「おもろ!!!」って。 大:麒麟さん、5回も決勝に出てるんだ! 拓:俺びっくりしたけどさ、千鳥さんも4回出てるんだよ!当時は千鳥さんが決勝出ているのを見て「なんでこんなつまんねぇ芸人毎回出てんだよ!」って思っていましたもん。俺当時は一度も笑ったことない! 大:これ、全然書いて大丈夫なんで(笑)
僕らみたいな無名でお笑い好きしか知らない芸人は、ストレートで決勝に行く以外、退路を断たれる
──これまでのM-1戦歴のなかで一番辛かった時期はありますか? 大:敗者復活は嫌でした。国民投票のときは絶対に上がれないと思っていたんで。 拓:会場票だったらまだわからないですけど、国民投票なんで絶対に上がれないね。 大:僕らみたいな無名でお笑い好きしか知らない芸人は、ストレートで決勝に行く以外、退路を断たれるんですよ。 拓:「あ~今年も決勝行けなかったって」思うんです。「敗者復活があるから頑張って!」って言われても、いや、頑張りようがねぇだろって。 大:それと、2019年あたりかな?実力が出せなかったときですね。いいパフォーマンスができなくて。準決勝に上がるのって、すっごく大変でしんどいんですよ! 拓:半端じゃないですよ。だって、準決勝行けただけで泣くやつなんて山ほどいますからね。今年の準決勝のときなんかは、俺らの出番があと1時間後くらいのときかな。男子便所から「ヴォエェェェェ」って声が聞こえて、とんでもねぇ緊張している奴いるなって。でも本当に気持ちは分かる。あれ、誰だったんだろうな。 大:そんな準決勝、やっと掴んだ準決勝で、「うわ、ミスっちゃったよ」って終わったときはすげぇ悲しいですね。噛んじゃうとか、間がズレるとか、テンポが速すぎちゃうとか。「なんでこの緊張に勝てねぇんだよ!」ってものすごく自分が情けなくなりますよ。全員同じ条件で緊張はしているのに俺だけ緊張に負けたみたいな。 拓:周りから完ぺきだったね!って言われても自分たちの中では全然完ぺきじゃないときなんて沢山あるんです。目に見える大きなミスももちろん嫌ですけど、あそこの一つの間がズレていなかったらもっとウケていたかもとか思うんで、完璧なことなんてないんです。ネタがスベるのは全然辛くないんですよ。俺たちがおもしろくなかったと思えるから。