地方は国の“下請け”ではない 改革に目覚めた地方議会の活動把握
先進的な議会活動を情報発信、他議会にも広げる
では、それぞれの観点はどのような要素をみているのでしょう。「情報共有」の観点では、本会議や委員会の議事録・動画・資料、議員や会派の賛否結果と理由、政務活動費、視察報告など、それぞれどれだけ住民に対して公開しているか、また公開した結果どうなったかについて検証を実施しているか、チェックしています。合わせて、ホームページ・SNS(会員制交流サイト)の活用、議会だよりの改善・工夫や広報に関する戦略の策定や検証も尋ねています。 「住民参加」の観点では、議会傍聴のしやすさや議会報告会等の実施、住民からの意見受付がどのようになっているかみています。未成年を対象とした主権者教育などシティズンシップ推進のための取り組み、参考人招致や、公聴会の実施も調べています。 「議会の機能強化」の観点は、議会本来の権限・能力を発揮するための機能強化状況がどうなっているかということに着目しています。例えば、地方議会運営の基本原則を定めた「議会基本条例」の制定や改正・検証、議会改革に関する実行計画のほか、法務担当職員を配置するなど議会事務局の強化、さらに議会図書室の活用などを質問に盛り込んでいます。 中村事務局長は、調査開始以後「これまでみられなかったような活動を始めるような先進議会がいくつも出てきた」ことから、「これら新しい活動や、住民にとって利益を出すような取り組みを始めた議会の事例をピックアップし、全国に情報発信することで、まだ気がついていない議会や、これからどうやればと悩んでいる議会の参考になれば」と話します。調査結果をきっかけに「ほかの地方議会でよいと思ったところのものは取り入れる“善政競争”が起こり、進化を促すツールになってほしい」。議会改革の動きとともに始まった調査もその目的を広げていっています。