青木宣親選手の引退で思い出す、好きなヤクルトの左打者3人【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第134回
閑話休題。真中さんの話に戻りましょう。 真中さんの魅力は打撃のマトリクス図(縦軸・横軸で構成されたチャート)があったとしたら、すべてのバランスがいいこと。そして高い身体能力と、勝負強さ。スタメンとして試合に出なくなってからも、その打撃技術はチームから必要とされ、2007年には「1シーズン98代打起用」という日本記録を作っており、それはいまだに破られていません。同年に「1シーズン代打最多安打(31安打)」もマークし、こちらもいまだに日本記録です。 またまた余談ですが、私は真中さんのような体型の野球選手が大好きなんです。日大の後輩でもある山崎晃大朗選手も非常に近い体型なのですが、その山崎選手も今シーズン限りで引退。本拠地最終戦である10月3日に、勇姿を見届けてきました。結果はマルチヒット。スタメンフル出場した本拠地最終戦に自ら花を添え、温かな拍手に包まれながら、最後まで笑いを誘って球場を後にしました。ファンからもチームメイトからも愛され、記録よりも記憶に残るような山崎選手の引退はとても寂しいですが、本当にお疲れ様でした。 さて、真中さんは現役時代はストイックなイメージがあったのですが、監督になってからはなぜか"いじられキャラ"になりました。2015年のドラフト会議では、前代未聞の「くじ引きに当たったと勘違いする事件」を起こすなど、気がつけばお茶目なおじさんキャラが定着しているのもまたいいですよね。 ご本人はどうやら高田純次さんが目標だそうで、真中さんが朝の散歩番組を担当する日も遠くはなさそうです。 その3 ロベルト・ペタジーニさん 我が家の愛猫の名前は「バレンティン」ですが、一時はペタジーニにするか悩んだくらい、大好きな選手でした。 ホームラン王のタイトルを2度獲得するなど"大砲"のイメージがありますが、どちらかというと細身でしたよね。それまでの「外国人助っ人=ごつくてデカい」というイメージを刷新した選手かもしれません。 私生活でも、友達のお母さんと結婚するなど話題性にあふれた選手でしたが、打撃意外でも私に大きなインパクトを残した選手でした。 ヤクルトは2001年に日本一に輝き、ペタジーニさんもそれに大きく貢献しました。しかし......翌年にまさかの、巨人への移籍が決まったのです。チームの中心だったスター選手がいなくなるなんてことがあるのか。それも同じ東京の、同リーグのライバルチーム(向こうは思ってないかもしれませんが)に......。小さい頃の私はとてもショックを受けました。 「愛するチームを出ていくなんて!」と恨めしく思ったこともありましたが、今にして思えば、少しでも年俸が高いチーム、自分を必要としてくれるチームに行くのはプロとして当然です。ペタジーニさんは、巨人を退団した後にメジャーに復帰。一度は現役を引退しましたが、その後、メキシコや韓国を経てソフトバンクで日本球界に復帰を果たします。 いくつになっても最後まで野球選手でいたかった。ペタジーニさんの姿からは、そんな強い矜持が感じられるのでした。 ということで、今回はつらつらと好きな左打者を挙げてみましたが、みなさんのお好きな選手も教えてくださいね。それではまた来週。 構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作