繁華街「新宿駅東口」トラック流入制限実験 歩行者空間確保を街の魅力に
新宿駅東口でトラックの流入制限 社会実験では路上駐車激減
昨年、新宿区は指定域内へのトラックの流入を制限する“荷さばき集約化”の実験を始めました。その背景について、新宿区都市計画部新宿駅周辺整備担当課の担当者はこう話します。 「新宿駅東口は街区が細かく分かれて発展しきました。そのため、物流業者や宅配業者などのトラックが頻繁に流入するようになると、それが渋滞を引き起こす原因にもなっていました。また、荷さばきトラックの路上駐車も歩行者の邪魔になっていました。事態を重く見た区では、北は靖国通り、南は甲州街道、東は明治通り、西は新宿駅までを範囲に定めて、各納入業者のトラックの流入を制限することにしたのです。これによって歩行者空間を快適性が向上すると考えたのです」。 昨年につづき、新宿区は今年も同様の社会実験を実施。今年は区役所の裏手にある新宿東宝ビルに配送拠点となる一次デポを開設し、各納入業者はそこに荷物を集約することになりました。一次デポに集められた荷物は、佐川急便によって二次デポへと運ばれていきます。二次デポから各店舗へは、台車や人力で配達する仕組みを整えたのです。 「今年の実証実験は2日間という短い期間でしたが、昨年の取り組みも踏まえて新宿駅東口周辺の交通量や路上駐車は激減し、空きスペースが生まれることが事前から想定されていました。そのため、新宿区は駅東口のモール化を促進するために、道路に歩行者の憩いのスペースとなる“花で飾る歩行者空間”を設置しました。わずかな空間ですが、街に潤いを与える装置になっていると思います。こうした地道な努力によって、街の魅力は向上を図っていく考えです」(同)。 店の前に配送のトラックが停車できなくなると、店の人も慣れないうちは不便に感じるかもしれません。しかし、歩行者空間の魅力を向上させる取り組みは、多くの来街者を生むことにつながり、商店街にとってもメリットがあると言えます。歩行者空間の確保やそれに伴う町の魅力向上は、新宿区だけの課題ではありません。全国でも自動車と歩行者との共存やモール化は重要になってきています。 小川裕夫=フリーランスライター