バレー男子日本代表、五輪メダルの鍵は石川祐希&高橋藍の疲労蓄積軽減 元五輪代表監督・植田辰哉氏が占う
バレーボール男子のパリ五輪前哨戦、ネーションズリーグ(NL)の1次リーグ(L)第2週は4日、福岡・北九州市の西日本総合展示場で開幕。すでにパリ五輪出場権を獲得し、ここまで3勝1敗の世界ランク4位・日本は、今大会から石川祐希主将(28)=ペルージャ=と高橋藍(22)=サントリー=の2枚看板が合流し、最強布陣で同16位のイランとの第2週初戦に臨む。08年北京五輪代表監督の植田辰哉氏(59)が52年ぶり五輪メダルを狙う男子の戦いを占った。 * * * 日本は第1週で3勝1敗。アルゼンチン、セルビアと新旧交代がうまくいってないチームと、いい戦い方をして勝利を手にした。ただ、敗れたイタリア戦は、主力を温存したとはいえ、ブロックで18得点を与え、スパイクミスも目立った。甲斐がサーブで狙われ、セッターにいい球が返らず、スパイクが単調になりイタリアのブロックに仕留められた。サーブレシーブが乱れると、世界の強豪からは、サイドアウトは取れない。 石川、高橋藍が加わる福岡大会ではサーブレシーブを2人が中心となって行うため、守備力は上がってくる。だが、五輪本番でメダルを取るためには、いかに疲労の蓄積を抑えるかが大事になる。そのためには、控え選手の活躍が欠かせない。イタリア戦の甲斐を見ていると、起用するのをためらってしまう。 NLは、日本にとって今月下旬にも選出される五輪代表12人を選考する大会でもある。私は、アウトサイド4人、ミドル3人、オポジット2人、セッター2人、リベロ1人になると予想する。アウトサイドでは、石川、高橋藍はほぼ確定で、残り2枠を高梨健太(27)、富田、大塚達宣(23)、甲斐が争うことになるだろう。この福岡大会も含めて、どれだけアピールできるか大きなポイントとなる。第1週で目に留まったのはリベロの小川だ。サーブレシーブ、フェイント、ワンタッチボールへの対応など成長が著しい。山本の安定感も素晴らしいが、その差を小川が縮めている。リベロの代表争いも最後までもつれそうだ。 石川については心配していない。彼は毎日の食事のカロリー数を計算するなどストイックに私生活もコントロールしており、自らを律する姿勢は素晴らしい。そのキャプテンシーはチームのメンタル面に大きく影響を与えるはずで、個の力を団結させてチームをまとめる能力は高い。 福岡大会は、世界ランク1位のポーランドとの試合に注目が集まるが、私は初戦(4日)のイラン戦が重要と感じている。3日時点での世界ランクは16位だが、彼らはアジアのライバルとして、国の威信をかけて臨んでくる。昨年のパリ五輪予選が始まる前、私はエジプトが不気味で警戒する相手だと書いたが、その予感が当たり、逆転負けを喫した。楽な試合などはない。仮に負けてしまうと、後の試合が苦しくなってしまう。絶対に勝ち切ることが大事になる。(08年北京五輪男子代表監督・植田辰哉)
報知新聞社