【黒柳徹子が出会った美しい人】ハリウッドで人としても尊敬されていた女優、キャサリン・ヘプバーン
黒柳徹子さんが「好きな女優は誰ですか?」と聞かれて必ずで答えているハリウッド女優、キャサリン・ヘプバーンさんについて、今回はお話しします。 〈画像〉「オスカーを4回も受賞」した名優キャサリン・ヘプバーン
私が出会った美しい人【第22回】女優 キャサリン・ヘプバーンさん
「好きな女優は誰ですか?」と聞かれて、昔から必ず答えているのが、ニューヨークの舞台女優からハリウッド映画に移り、オスカーを4回(!)も受賞した名優キャサリン・ヘプバーンです。「ヘプバーン」といえば、日本ではオードリーのほうが有名ですが、アメリカでは、キャサリンの人気が圧倒的! 知的で繊細で、優雅で品があって、そのうえユーモアもあって。そもそも、演技部門でオスカーを4回も受賞したなんていうのは、長いオスカーの歴史の中でも彼女だけ。まさに人気と実力を兼ね備えたアメリカを代表する女優です。 オスカーの受賞作だって、1933年『勝利の朝』に出演したときはまだ20代。その34年後、1967年の『招かれざる客』でオスカーを受賞したのが60歳。翌年も『冬のライオン』(大好き!)でオスカーを受賞しているので、この頃が女優として最も円熟していた時期だったのかも。その13年後にも、『黄昏』(名作!)でアカデミー賞主演女優賞を受賞しています。身長が170センチ以上もあって、普段からパンツスタイルで過ごしていたのですが、1940年代とか50年代にそんな人は珍しかったから、彼女をきっかけに、パンツルックが世界中で大流行したことも。今でいうインフルエンサーですよね。オードリーも、フェミニンなルックで世界中に影響を与えましたけど、キャサリンは当時、自立した女性のパイオニア的存在だったのかもしれません。 生のキャサリン・ヘプバーンをブロードウェイの舞台で観たことがあります。ハリウッドスターとして大成功してからも、彼女は自身の原点である舞台に立っていました。ステージ上でココ・シャネルを演じる彼女はすごく生き生きしていて、スターっぽさが微塵もありませんでした。それはもちろんいい意味で「人間がいる!」という感じでした。私は、そういう生身の人間らしさを感じさせてくれる俳優が昔から大好きなのです。 彼女はその人生の中で、「なるほどなぁ」と人を唸らせるような言葉をいくつも残しています。たとえば、「修練のない人生なんて、人生じゃない」という言葉。これは、マリア・カラスの「修練と勇気、あとは全部ゴミ」という言葉にも似ていますし、「正しいか間違っているかなんてどうでもいい。重要なのは逃げ出さないこと」という発言も、彼女らしいなと思います。そして、「生きているだけで楽しいってことを、私は忘れたことはない」という言葉にも、共感せずにはいられません。