31歳のダニエル太郎、9年ぶりに兵庫CHで4強入り!「成長し続ける姿勢が、自分で自分を尊敬できるところかな」<SMASH>
それらの戦いを重ねた中で、ツアーとチャレンジャーの違いはあると感じるか――? その問いにダニエルは、「あるし、ないし……って感じ」と答える。ここ数年、200位台の選手もレベルが上がったということは、ケガから復帰した錦織圭も述懐していた。そのような現状も踏まえた上で、ダニエルはこう語る。 「今は対面でプレーするだけなら、結構、誰でも上の選手に勝てる感じ。ただそこから作戦を考えたり、状況にアダプトできるかや、柔軟性を保ちながら色んなことを考えプレーできるかというのが、トップの人が優れている点」 テニスが、文字通り世界中を旅(=ツアー)しながら年間20~30大会を戦うシステムである以上、重要なのは1試合の“点”ではなく、それらをつなげて描く線。 その真理を悟ったうえで、この地位に約10年間居続けてきた自分自身を、彼はどう捉えているだろうか? ダニエルが答える。 「初めてこの大会の決勝まで来て、初めてトップ100に入った時と今の自分は、全然違うなって思う。あの時に対戦した選手たちや当時のドローを見ても、ウッチー(内山)を除いたら今は引退した選手がほとんど。そういう意味では、色んな選手とやりながら、向上心を持ち続けていることが、まだランキングを上げられたり、この100位前後に居られることに繋がっていると思う。 今年や去年は、上がってくる若手にビビったし、『こいつ、来年は絶対にトップ50くらいに居るだろう』と思ったりしたが、そういう選手も、意外にまだ200位を越せていなかったりする。そういう人が多くいるなかで、自分はチャレンジャーに出たときは、勝てる試合で勝てるようになってきている」 「成長し続ける姿勢が、自分で自分を尊敬できるところかな」――。照れ臭そうにそう笑う彼に、「10年前の自分と対戦したら、勝つ自信ありですか?」と問うてみる。 「100パー(%)です」 間髪入れず、ダニエルが言った。その確信を胸に、ラストスパートを駆ける足に力を込める。 取材・文●内田暁