日本唯一のレア種別「特快速」どんな意味? 乗ったら確かに速い! 急勾配をカッ飛ばす路線
続いて急カーブ
勾配を上がると、今度は半径300mの急カーブ。アトラクションさながらで、複線電化の通勤路線とは思えないワイルドな線形です。7時10分ごろに再び45.4パーミルの区間に差し掛かりました。上がるだけではなく下がることもあり、運転台後ろだとアップダウンがはっきり見てとれます。この勾配区間を、谷上駅まで6駅連続通過するのは特快速だけです。 急行が停車する大池駅、花山駅をあっさり通過していきます。大池駅は急勾配の途中にあり、ホームも坂になっていました。登りきると40パーミルの下り勾配です。もはや有馬線では珍しくもありません。 7時17分、谷上駅に停車しました。神戸市営地下鉄北神線との乗換駅で大量の下車があり、ホームの向かいに停車する地下鉄車両がすぐに埋まっていきました。谷上駅を出るとしばらく地下鉄と並走し、谷上トンネルに入ります。トンネルを出ると、はっきりと分かるほどの登り勾配の線路が敷設されています。ついに勾配標は神戸電鉄最高の「50パーミル」を示しました。 そして箕谷駅を通過。うねった線路の先には再び50パーミルの標識がありました。7時22分着の山の街駅の直前にも急勾配があります。山の街駅では23人が乗車しました。 ここからは北鈴蘭台駅、鈴蘭台駅と連続停車します。北鈴蘭台駅で45人ほどが乗車し、再びラッシュ時らしくなってきました。北鈴蘭台駅を出ると、また50パーミル。路線全体の20%が50パーミルらしく、急勾配が連続する風景は、都市圏の鉄道では珍しいものです。
廃駅を発見
粟生線と連絡する鈴蘭台駅では30人ほどが乗車しました。引き続きブレーキが利くか心配になるような坂を下ります。鈴蘭台駅からは線路が並走していますが、これは鈴蘭台車両基地への引き込み線です。このような立地に基地を作るのは大変だっただろうと思うような地形です。 真新しいトンネルを抜けると、2018(平成30)年に廃止された菊水山駅が見えてきました。周囲には人家もほぼなく、廃駅とはいえどホーム上の椅子が撤去されたくらいで、設備はそのまま残っていました。テレビドラマの撮影にも使われたとか。 特快速は鵯越(ひよどりごえ)駅を通過しました。トンネルが続きますが、トンネル内も露骨に傾斜していました。丸山駅を通過すると、また50パーミルが連続。最後の通過駅である長田駅を過ぎると地下トンネルに入り、湊川駅。神戸市営地下鉄西神・山手線との接続駅でもあり、かなりの下車がありました。終点の新開地駅は7時41分着でした。 新開地駅構内は神戸高速線とつながっており、ほとんどの乗客は特快速を顧みることなく、足速に乗り換えていきました。 ※末尾の乗換駅名を修正しました(6月13日17時10分)。
安藤昌季(乗りものライター)