ロシア軍Il-38哨戒機、礼文島周辺を領空侵犯3回 フレア初使用
防衛省は9月23日、ロシア軍のIl-38哨戒機1機が北海道礼文島北方の領海上空を3回にわたり領空侵犯したと発表した。航空自衛隊は戦闘機を緊急発進(スクランブル)させ、フレア(火炎弾)による警告を実施した。会見した林芳正官房長官によると、領空侵犯に対する措置としてフレアを用いたのは初めてだという。 【画像】領空侵犯したロシア軍哨戒機の行動概要 防衛省によると、Il-38は午後1時3分から4分ごろ、午後3時31分ごろ、午後3時42分から43分ごろの計3回日本の領空を侵犯。空自は北部航空方面隊の戦闘機を緊急発進させた。フレアは戦闘機などが自機に向けて発射された赤外線誘導ミサイルをかわすために用いる「おとり」で、今回はIl-38に対して無線による警告に加え、フレアを発射することで明確な警告を示す狙いがあったとみられる。 林官房長官は「極めて遺憾。ロシア政府に厳重抗議と再発防止を強く求めた」と説明。また、内閣に情報連絡室を設置したことを明らかにした。「ウクライナ侵略後も我が国周辺での活発な活動を継続している」(林官房長官)として、今後も警戒監視する。 日米首脳会談や日米豪印4カ国によるQUAD(クアッド)首脳会合などに出席し、24日に帰国する岸田文雄首相は、1)領土・領海・領空は断固として守り抜くとの決意の下、国際法及び国内法令に従い、冷静かつ毅然と対応すること、2)米国を始めとする関係諸国と緊密に連携すること、3)国民や国際社会に対し、適時適切な情報発信を行うことを林官房長官らに指示した。
Tadayuki YOSHIKAWA