「監督のために野球をやるわけじゃない」…立浪中日を変えたチームリーダーの「アツすぎる一言」
「今に見とけよ」
開幕前の低評価を覆し、4月9日には2891日ぶりにセ・リーグの首位に立った立浪中日。その後、順位は後退したものの混戦セ・リーグの立役者となっている。チームの士気も落ちていないという。その裏には一本気なチームリーダーによるナインへの熱い鼓舞があった。 【一覧】プロ野球「最も愛された監督ランキング30」最下位は、まさかの… 今季も評論家による順位予想では最下位が多かった中日。それを知った立浪監督の反骨心は、否が応でも燃え上がった。 「今に見とけよ。予想を覆してやる」 周囲に、そう話したというが、手応えもあったのだろう。 もともと「得点さえ取れれば勝てる」と投手陣には自信を持っており、オフに獲得した中田翔もキャンプから期待通りの存在感を見せていたのだ。 「打線の中軸を担うのはもちろん、立浪監督は中田加入でチームの空気を変えることを狙っていた。中田もそれをわかっていて、実際に選手たちにピリッとした緊張感が生まれた。昨季までの中日にはそういうお目付け役になりうる選手がおらず、立浪監督が厳しさを見せないといけない状況だった。そうした中で『令和の米騒動』とか、監督と選手の諍いめいた話も報道されるようになった」(球団関係者) そんな窮状に立ち上がったのが、大野雄大だった。
主砲を癒す家族とイグアナ
オフの契約更改では、批判されることも承知の上でチーム改革の必要性を公言した。 「昨季は4月に左ひじのクリーニング手術を受けて、わずか1試合の登板しかできない不本意なシーズンに終わった。それでも2年連続最下位という球団初の不名誉な結果に黙っていられず、『ガラッと変わらないと勝てへんやろうなと思いますね。このままいっても、たぶん勝てへん。選手が一番やらないといけないですけど、球団もそうですし、監督、コーチ、みんなが変わらないと』と訴えたんです」(中日担当記者) 大野の叫びは、それだけにとどまらなかった。 「キャンプが始まる前にも大野は選手が集まった場で、『監督のために野球をやるわけじゃない。自分たちのためにやろう』と、過剰に監督を意識したり、愚痴をコボすのではなく、チームの一員として、ただ勝利を求めて戦おうと伝えたそうです」(前出・球団関係者) その大野が移籍決定を耳にして「心強い」と歓迎した中田も、背水の陣で臨んでいる。 「今季、結果を残せなければユニフォームを脱ぐということはメディアの取材でも口にしている通りで、選手生命を懸けてやっている。移籍に当たっては子供が転校しなければいけないことなども考えて本人は単身赴任するつもりでしたが、奥さんの反対で家族みんなで名古屋に移ってきてバックアップを得ている。かわいい子供と、飼っている2匹のイグアナが癒しになっているそうです。 ホームゲームでは家族との時間を大切している一方で、遠征先では若い選手を食事に連れていき、面倒見のいいところも見せている。普段もバッティングの技術的なことや心構えなどを教えるだけでなく、言うべきことも言ってくれているので、立浪監督も助かっている」(同前) 指揮官も並々ならぬ思いで開幕を迎えていた。 後編記事「『「俺が立浪を救わないといけない」...監督と一蓮托生を誓うメンバーの「男気発言」」では、立浪監督が漏らした辞任に対する考えや、腹心の熱すぎる言葉などをお伝えします。
週刊現代(講談社)