上白石萌音「生理前は心が不安定に…」 PMSに悩む役を熱演 自身を見つめ直すきっかけに
■「いろいろな病気や悩みとかってすごく多面的」役を通して得た学び
――“藤沢さん”を演じて気づいたことや学んだことは何ですか? PMSに限らず、世の中にあるいろいろな病気や悩みとかってすごく多面的、人それぞれなんだなっていうのを気づいてハッとしました。体とか心の不調には病名がつくんですけど、その人がどういうものが欲しいか、どういう言葉をかけられたいか、どういう治療がいいかというのは人それぞれ。なので病気に限らず、「これだったらこれ」っていうラベルを安易にはっちゃうのは、いろいろな誤解を招いてしまうし、ズレの始まりになってしまう。直さなければいけないところなのかなって感じました。 あと、藤沢さんを実際に演じてみて、(怒りを)まき散らしてる時よりも、その後の方が何倍もつらいっていうことでした。自己嫌悪とか反動ですごく悲しさがやってきたりとか、そっちの方がしんどくて。なので、今つらい人に手を差し伸べるのも大切なんですけど、その後が実は一番寄り添いがほしい時間なのかなって思いました。
■「みんなそうやって生きてる」 悩みのある人への寄り添い方は
主人公の2人は、発作や症状が出ない時はいわゆる“普通”に過ごしていて、見た目からは気づかれにくい症状を抱えています。悩んでいる当事者側、そして悩んでいる人に寄り添う側の2つの立場を演じて、上白石さんは気づいたことがあったといいます。 ――“見た目ではわからない”症状や悩みがある人々にとって、どのように向き合ってもらうことが、その人の心を軽くすると思いますか? 普通に接してもらうのが一番うれしいと思います。すごく大事に気にかけてもらうことで救われる部分ももちろんあるし、そうやって思ってもらえるってことはすごくうれしいこと。私は何か抱えているわけではないですけど、やっぱり気持ちのアップダウンとか、体調が良かったり悪かったりはあって。でも、そういう時も変わらず接してもらえることってすごく力になるので、腫れ物に触るように接するのは、もしかしたらその人の負担になってしまうのかなって思います。 自分ではどうにもならない心とか体のことが根底にはありつつも、「みんなそうやって生きてるよね」って。「でもやっぱり人ってあったかいね」っていう、すごく大きな作品なんです。気づいたらいろいろなものをもらってたなって、あとで振り返ったら気づくような映画。その押しつけがましくない感じとか、自然体でいてくれる感じがすごく好き。学びも多かったですし、純粋に大好きな映画です。