若手女性2人〝せり人〟に 「食を支える覚悟」 広印広島青果
農業女子ならぬ「市場女子」が卸売市場の農産物のせり場に新しい活気を吹き込んでいる。中国四国地方の拠点市場、広島市中央卸売市場の広印広島青果で働く内堀十桜子さん(23)と清水玲那さん(21)は、それぞれ果実と野菜の市場流通に携わる。これまでせり場になかった女性の明るい声を響かせながら、正式なせり人を目指して研さんを重ねる。 「ミカン、持ってきました」「ハクサイ、準備できました」。毎日、午前4時半に出社する2人の一日は、午前6時に始まるせりの準備から始まる。入荷した商品の数合わせ、せり台に提示するサンプルの用意、先輩せり人のサポートなどに奔走する。 2人は昨年4月に入社後、内堀さんは果実部、清水さんは野菜部に配属された。現在の職務を3年続け、社内の試験と講習を受けた後、晴れて正式なせり人になる。
〝明るい声〟響き 新しい活気を吹き込む
内堀さんは「地域の食を支える覚悟を持って、買参人に分かりやすく正確な販売ができるせり人になりたい」と決意する。 清水さんは「広島市場に『元気な女性のせり人がいる』と言われるよう、しっかり声を出して顔と名前を覚えてもらいたい」と意欲を燃やす。 せり場に入ってもうすぐ一年。関係者にも顔と名前が知られてきた。産地側の関係者としてせりに立ち会うJA広島果実連の下岡正常務は「2人の明るい声でせり場が活気を帯びている。販売担当者としての今後の活躍が楽しみ」と期待を寄せる。 2人を指導する同社の坂田博文取締役は「彼女たちと共に、多様な人が働ける市場づくりを目指したい」と話す。
日本農業新聞