漫画『熱風の虎』にも登場した【バンビーンOCR1000】ロータリーエンジン搭載の70年代モンスターマシンに試乗!
バンビーンOCR1000の2ローターエンジとはどんなものだったか
ルクセンブルク大公国・コモーター社製2ローターのロータリーエンジンを搭載。コモーターは1967年5月にNSUとライセンス契約を交わしており、本家NSUとヴァンケル社を除くと、世界で16番目のメーカーとなる。このロータリーエンジンはシトロエン製の4輪車に使われていたもので、水冷で吸気はペリフェラルポートだ。無論、補機類のほとんどはOCR1000用に新規開発している。 エンジン左面のおむすび状のマークロゴ部分がエキセントリックシャフト位置になり、ロゴが入るカバー内は無接点式点火装置のユニットが収まる。その上に伸びた部分はベルト駆動のウォーターポンプ。このあたりの構造が4輪用からの転用であることを伺わせる。 一方、エンジン右側のおむすび状マークロゴのカバー内は発電系コイルが収まる。そのさらに奥、角張った大きく平たいカバー内にはフライホイールが入り、その周囲のリングギヤをカバー左上に付くセルモーター(黒い部品)が駆動する。エキセントリックシャフト位置は左側同様ロゴ位置になり、そこからクラッチまでは複数枚のアイドラギヤを介し動力を伝達。乾式のクラッチは左下の四角いカバー内になる。クラッチカバーのすぐ裏が黒っぽい部品でカサ上げしてあるのは、設計当初のクラッチ容量では不足していたため、ディスク枚数を増やすなどして急きょ容量アップを図ったためではないか。 キャブレターはソレックス製2バレルでタンク下、エンジン前方に付く。同車の吸排気レイアウトを見ると、ローターは車輪と逆回転することが分かる。キャブ本体は4輪用を転用しているとのことだが、セッティング自体はOCR1000独自のものとなっているようだ。 最終駆動はシャフトで、シャフトが通るスイングアーム、ファイナルギヤユニット、そしてホイールまで専用品。ファイナルはオプションで高速寄りのギヤも用意。多面形状の凝ったサイレンサーももちろん専用で、このモデルへの力の入れようが分かる。