ドキュメンタリーのような緊迫感…『119 エマージェンシーコール』の“月9っぽくなさ”に期待するワケ。第1話考察レビュー
清野菜名主演の月9ドラマ『119 エマージェンシーコール』(フジテレビ系)が1月13日より放送開始した。本作は、消防局の通信指令センターを舞台に、消防車の出動を指令する指令管制員(ディスパッチャー)のリアルを描く。今回は、第1話のレビューをお届け。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】清野菜名、瀬戸康史ら豪華キャストの芝居がリアルすぎる…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『119 エマージェンシーコール』劇中カット一覧
119に通報するとき、自分は冷静でいられるか?
「119番、消防です 火事ですか? 救急ですか?」 救助を必要とする人が放つ「助けて」の“声”。その声を最初に聞くのは、緊急通報に応答する指令管制員だ。1月13日にスタートした『119エマージェンシーコール』(フジテレビ系)では、電話一本で危機に瀕した命を“つなぐ”指令管制員たちのリアルが描かれる。 119番への通報内容は、多岐にわたるという。119番へ電話すべきなのかためらってしまう人がいる反面、なかにはいたずらや不適切な通報をする人も少なくはない。たとえば、「ネズミの駆除をしてほしい」というものや、無言電話など…。本作の冒頭で描かれたのも、「ネットの炎上を火消ししてほしい」という悪質ないたずら電話だった。 舞台となる消防局の通信指令センターには、119番への通報が頻繁に鳴り響く。コールをキャッチすれば、電話の向こうの相手はパニックになっている場合がほとんどだ。 通報したならば正確な情報を伝えなければならないとわかってはいるものの、いざその時がくると、果たして自分は冷静になれるのだろうか、と。思わず考えさせられてしまう場面でもある。
ドキュメンタリーさながらの緊迫感
混乱する通報者に対し、指令管制員たちは居場所や現場状況などの聴取を行わなければならない。場合によっては、通報者に心臓マッサージや応急処置の指示をすることも。 それらを“声”ひとつで行う指令管制員たちのシーンは、まさに圧巻だ。ドキュメンタリーさながらの緊迫感にあふれていた。 指令管制員は消防隊員のように直接命を救えるわけでもなければ、尽くしても滅多に感謝されることはない。いうなれば、日の当たりにくい職種である。しかし、そんな指令管制員を志して消防の世界に入ったのが、元銀行員の粕原雪(清野菜名)だった。 雪の持つポジティブなエネルギーは、演じる清野と重なる部分がある。探求心に満ちた明るい性格の雪は、物語をパッと照らしてくれる存在。しかし、行動力のある雪にとって、現場へ行って自ら助けることができない指令管制員の仕事は、もどかしい思いを抱えることも多いように感じる。 “その後”を確認するため、火事や事故が起きた通報現場に出向くことも。雪は一度聞いた声や音を忘れない特技を持っており、自分の対応は間違っていなかったか、しばしば想像力を働かせる。「確実に店名が聞き出せていれば 消防車の到着を1分早くできた」「必死に非難している人に声を届けるには スピーカーフォンにしてもらえばよかった」想像によって数々の答えが見つかるが、雪の行動にあまりいい顔をしないのが、実際に現場で命を張る消防隊員たちだ。 雪が行ったことは、消防隊員たちからすれば信用していないと言わんばかりの行為でもある。命をかけて働く消防隊員に対し、指令管制員たちは通信指令センターという安全圏ともいえる場所にいる。軽い気持ちで踏み込まれたくないという消防隊員たちの気持ちは、もっともだと頷ける。 「わかっていない 通報を切って終われることが どれだけ恵まれたことか」雪を注意する教育係の兼下睦夫(瀬戸康史)は、元消防士だ。どれだけ頑張っても救えない命が確実にあり、消防隊員たちはその現実を直接目で見て、嫌というほど実感していることを兼下はよく知っている。