優秀なリーダーが実践する、5つのタイプ別「部下のほめ方・接し方」
「優秀なリーダー」と聞いて、どんな人物像を思い浮かべるでしょうか。カリスマ性のある人や、人を引っ張っていける特別な能力がある人でしょうか。 優秀なリーダーとは、「自分や自分のチームの仕事をシンプルにする力がある人」──著書にそうつづるのは、課題解決コンサルタントの阿比留眞二さん。 その理由といまのリーダーが身につけたいメソッドを、『最高のリーダーは、チームの仕事をシンプルにする』(三笠書房)より紹介します。
リーダーが心得るべき7つのエッセンス
現在、阿比留さんが「課題解決コンサルタント」としてビジネスパーソンに指導しているのは、「仕事をシンプル化し、自分がやるべきことを絞り込み、それを確実に実行して結果を出す」ためのメソッドです。 阿比留さんが教えるメソッドとして、本書では以下の7つのエッセンスが紹介されています。 ・会社の「問題」と、自分の「課題」を混同しない ・仕事は「より少なく、しかしより良く」する ・常に「全体最適」を考えて部下を動かす ・「優先順位」だけでなく「劣後順位」も明確にする ・仕事を「やめる」のも、「すぐに」やる ・上司と部下の違いは「役割だけ」と心得る ・自分なりのシンプルな「仕事の原則」を築く (『最高のリーダーは、チームの仕事をシンプルにする』7~8ページ) ご自身のマネジメントと照らし合わせて考えてみてください。できていない、もしくはピンとこない項目はあるでしょうか。 本書では、仕事をシンプルにするために必要な「捨てる力」や「絞り込む力」、あえてやらないことを先に決める「劣後順位」のつけかたといった、上記の7つを実行するためのノウハウが記されていますが、今回は3章にちょっと興味深い内容があったので紹介させてください。
ムードメーカーや批判的な部下にはどう接すればいい?
チームの仕事をシンプルにするために、人を合理的に動かすこともリーダーの役割です。 しかし、人を動かすのは容易ではありません。人を動かすためには、相手のことを観察し、どんな性格なのか、どんな特性があるのかを性格に見極める力が必要です。そのうえでコミュニケーションを取っていく必要があります。 (『最高のリーダーは、チームの仕事をシンプルにする』105ページ) そこで、阿比留さんは、仕事に関しては、部下のタイプを次の5つにわけて接するようにしているのだとか。その方法が第3章「できるリーダーは、『この方法』で人を動かす」に紹介されていました。 5つのタイプ別、シンプルな部下指導法<1. 批判的な部下> 会話のなかで、いつも否定的なことを言う人、いますよね。営業方針などについて否定的で批判的なことばかりを言ってくる部下には、どのように接したらいいのでしょう。 そのときは、「君の言うことは、一理ある」とまず受け止めてあげること。そのうえで「では、それを解決するには、君はどうすればいいと思うか、教えてくれないか?」と問えば、部下は自分なりの有効な手段を提示してくるでしょう。 (『最高のリーダーは、チームの仕事をシンプルにする』107ページ) このタイプの部下は、論理的で、エネルギーがあるので「自分で決めたこと」はがんばって実行するそうです。 <2. 協調的な部下> 常に周囲に気を配り、協調性が高く、「困ったときはあの人が助けてくれる」と頼られるタイプの部下の場合は? 心がけたいのは、その「協調性」や「やさしさ」を否定しないこと。「君がいてくれて、チームは助かっている」と伝えながら、「君はどうしたい?」「意見を聞かせてほしい」などと問いかけをするのが有効。 なぜならば、このタイプは、ガツガツと目標に向かうことが苦手で自分を押し殺してしまう傾向があるからです。 <3. 客観的な部下> 先行きを計算し、現実的な対応ができるタイプのため、冷たいイメージを周りに与えることがあります。「このタイプには仕事ができる人が多いが、周りからはやる気や情熱がないように見えることもある」と阿比留さん。 このタイプには「やる気を見せろ!」などと言うのはタブー。冷静沈着で、仕事を安心して任せられると、信頼していることを伝えるといいそうです。 <4. ムードメーカーの部下> いつも明るく朗らかで、天真爛漫なタイプ。しかし度を越すと自分にブレーキをかけられずに軽率な行動につながってしまうことも…。 このタイプの部下には、「いつも元気がいいね。いいムードをつくってくれてありがとう」と感謝の気持ちを適宜伝えることが大切です。そのうえで、仕事の抜け・漏れをなくすよう、また、見当外れの方向に仕事を進めてしまわないよう、確認作業をこまめにすることが肝要です。 (『最高のリーダーは、チームの仕事をシンプルにする』110~111ページ) <5. 自己抑制が強い人> 自分の気持ちを抑え、相手の期待に応えようとするタイプ。その結果、強いストレスを抱え込みがち。 このタイプの部下には、少しずつ気持ちを発散させてあげましょう。「大丈夫か?」「問題はないか?」などと何気ない声掛けでもOKです。 「そうすることで、自分のために時間を割いてくれた、配慮してくれている」と感じ、感情をコントロールすることができるのだそうです。 チームの仕事をシンプルにするためには、まずは自分の意識を変え、チーム内の体制や仕事の進め方に生かすこと。そして、チームメンバーの性格を見極めて、適切な部下マネジメントを実践すること。 その両軸で考えることが、自分の仕事とチームの成長への近道となるようです。 ──2023年6月16日公開記事を再編集して再掲しています。 Source: 三笠書房
ライフハッカー・ジャパン編集部