高齢になると賃貸住宅が借りられないと聞きました。今からどのような対策ができますか?
高齢者だと賃貸物件の契約を断られることが多いという情報を読んで、老後の住まいのことが心配になった40代会社員からの相談です。今からどのような対策をしておけば困らないのでしょうか。FPがアドバイスします。
高齢だと本当に借りられない?
相談者の今の年収は約500万円。結婚はしておらずその予定もありませんが、場合によってはマイホーム購入も視野に入れています。まず、不安になった高齢者の賃貸住まいについて、実態を確認します。 国土交通省によると(※1)、高齢単身世帯の借家率は2018年で33.5%とあり、決して少なくありません。また、60代で賃貸を選ぶ人の理由トップ3は次のとおりです。 (1) 天災時に自家保有だとリスクがある 41.4% (2) 住宅ローンに縛られたくない 36.1% (3) 税金が大変だから 26.1% 住宅ローンや維持費以上に、「資産を失う」リスクを避ける意識の強いことが分かります。「同じ金額を払うなら、住宅ローンで資産を残したい」とは異なる考え方ですね。他にも、ライフスタイルの変化に柔軟なこと、隣人トラブルなどに転居対応しやすいことなどが挙げられるでしょう。 では、貸す側の意識はどうでしょうか。こちらも同じ調査から、大家へのアンケート結果です。 図表1
(国土交通省「我が国の居住者をめぐる状況について」から著者作成) 入居制限に関する回答のうち、高齢者に関連の強いものを赤字で示しました。賃貸に住みたい単身高齢者の希望に反して、やはり賃貸人側の消極的な意識や入居拒否の実態が分かります。
持ち家の最大の強みは「自分の城」
このような実態からは、高齢期に向けた住宅取得は「資産価値を残す」以上に、生活基盤や権利が安定した「終の棲家」を手に入れる目的が切実といえます。 高齢期を考慮した住宅であれば、次の条件やケースに応じた中古マンションが候補の中心になるでしょう。40代と高齢期ではライフスタイルや収納量、維持費負担能力が異なりますから、物件の場所や広さは購入・転居時期の判断に大きな影響を与えます。 図表2