総裁選の「決選投票」は“民意”を反映できるか キングメーカーが暗躍し、派閥の論理がモノを言えば「何も変わらない自民党」が露呈
麻生氏にすがる候補者たち
今回の総裁選は、裏金事件による国民の自民党不信を払拭することが目的だと言っていい。ならば民意を最優先することは不可欠だろう。 世論調査の結果を見ても、一般的な有権者と自民党員の考えは、そう離れていないことが分かる。「9人の候補者のうち誰を支持するか」との質問に対し、【1】野党支持層や無党派層を含む一般的な有権者の回答、【2】自民党支持者の回答、【3】自民党員だけを対象にした調査──この3カテゴリーの回答はどれもそれほど変わらず、石破、高市、小泉の3氏が上位に来る。 だが、自民党員が一般の有権者と変わらない民意を示しても、決選投票では無視される可能性がある。“キングメーカー”の意向や、解散したはずの派閥が復活して暗躍。最後は“永田町の論理”による決選投票で、党員票で後れを取った新総裁=新首相が決まってしまえば、国民は再び自民党に対して強い怒りを覚える可能性が高い。 だが、こうした問題意識を共有している自民党の国会議員は少数派のようだ。総裁選に出馬している小泉進次郎氏は24日に麻生派会長の麻生太郎氏と面会し、支援を求めたと報道された。他の陣営も“麻生詣で”を行ったという。最後は“キングメーカー”に頼る候補者が少なくないことが分かる。
復活した安倍派
また日テレNEWSの報道によると、立候補者である石破茂氏は複数の派閥トップとの面会を模索。森喜朗元首相は安倍派の議員に小泉氏への投票を呼びかけ、安倍派の国会議員は26日朝、15人が国会で会合を開いたという(註1)。 「裏金事件の責任を取り、安倍派は解散を決め、最後の会合を2月1日に開いたはずでした。その後、解散したのか、していないのか分からない状態が続いていましたが、総裁選が激化すると復活したかのように活動を活発化させています。自民党の国会議員がこんな旧態依然とした態度で決選投票に臨めば、民意とはかけ離れた結果に終わる可能性があります」(同・記者) イギリスは日本と同じ議会内閣制のため、下院の第一党党首が国王により首相に任命される。 つまり第一党の党首選はイギリスのリーダーを決める選挙でもあるのだが、日本と同じように以前は国会議員だけの投票で行われ、“民意”を反映できないこともあったという。ただし日本の自民党と違い、保守党も労働党も問題を認識し、抜本的な改革を行った。