【NNNドキュメント】僕たちの婚姻、認めてくれませんか? 出会いは22年前…寄り添う男性カップル “同性婚” 婚姻の自由は…
■「社会の構成員、家族になりたい」
2人にとって、大切な居場所があります。熊本市中央区の橙書店。ゆうたさんが学生時代にアルバイトをしていた店です。 橙書店・田尻久子さん 「もう22年たっているけど、まだあまり変わっていないね、世の中はね」 ゆうたさん 「社会の構成員としての自分、家族そういうものになりたい…なのかな」
■母の思い「2人が幸せなら、同性でも」
ゆうたさんの母親も2人と一緒によくこの店に通っていました。 橙書店・田尻久子さん 「ゆうたのお母さんは死んでしまったけど、たぶん生きていたら(2人の結婚を)ものすごく喜んだんですよ…。もうすでに間に合っていないんですよ」
こうぞうさんの母親も、2人の関係を受け入れていました。 こうぞうさんの母 「心配は今のところしていません。ゆうたくんがしっかりしているから大丈夫だと思います」 「この人にはしっかりした人が付かないといけない」 ゆうたさんとは家族ぐるみの付き合いが続いています。 こうぞうさんの母 「2人が幸せなら同性でも何も問題はないと思うんです、国で認めてさえくれれば」 「家族の人も、そういう子どもさんを持っても、何も恥ずかしがることも、卑下することもないから、もっと表に出て応援してもいいなと思うんですけどね」
■僕らには「家族になるという選択肢がない」
亡くなったゆうたさんの母親は、ブランコに乗る2人の写真を撮ってくれていました。 こうぞうさん 「今みたいに応援してくれる声や味方でいてくれる声がなかったりする中で、僕らの存在をそれだけ受け入れてくれていたんだなと。こういう写真を通じて思うととてもありがたいしうれしいです」 ゆうたさん 「うちの母さんは『息子がもう1人できた気分』と言ったんだっけね」
こうぞうさん 「僕らはどれだけ大切に思っても、一生この人と添い遂げようと思っても、家族になるという選択肢がない」
■「認めないのは憲法違反」判決に2人は…
2人の幸せを、親も、周りの人も祝福しています。しかし、国は今も認めていません。 3月14日、あるニュース速報が2人のもとに届きました。「同性婚を認めないのは憲法違反」「札幌高裁2審での判断は全国で初めて」 スマホを見つめて「いいね」と声をあげる2人。この日、札幌高裁は、婚姻の自由を保障する憲法は「同性どうしの婚姻も保障している」という初めての判断をしました。「憲法に違反している」という判決を言い渡したのです。
“いままでで一番踏み込んだ判決”というニュースの文字に、「へー、やったね!やったね!」と喜ぶゆうたさん。そして、「当たり前のことなんだけどね」とつぶやきました。 2人はきょうも街を歩きながら祈っている。「僕たちの婚姻、認めてくれませんか?ささやかな願いなんです」