水辺の安全(7月22日)
いわき市内の海水浴場では水遊びをする人が目立つ。涼を求めて湖や河川、プールに繰り出す家族連れも増えている。水難事故への警戒は怠れない▼8年前の市内の勿来海水浴場。ある男性が溺れた男女2人をボディーボードで助けた後、流され亡くなった。神奈川県内でライフセーバーをしていたいわき市出身の女性は、後になって市の担当職員から悲報を聞いた。救助のプロがいたら防げたかもしれない―。古里に戻って監視・救助活動を始め、4年前に県ライフセービング協会を結成した▼講習会を開き、救助法や心肺蘇生法を教えている。習得者は全国組織の資格を得る。市内でこれまでに10人が登録された。今夏は県内外のライフセーバー約30人を市内の海水浴場と猪苗代湖の計3カ所に交代で派遣し、監視員と一緒に水辺に目を光らせている。奉仕の精神が活動を支える▼女性は通年で小学校などに出向き、児童や保護者、教員への安全教育にも力を入れている。「溺れた人を見つけたら浮力のある物を投げ入れて。助けに行く時は救命胴衣を身に着けて」―。危険を学んでおけば救える命があると、実技を交えて説く。男性の勇気を無駄にはしない。<2024・7・22>