野村証券を起債主幹事から相次ぎ除外、国債先物取引で相場操縦
(ブルームバーグ): 野村ホールディングス傘下の野村証券を起債の主幹事から除外する動きが相次いでいる。同証が金融商品取引法(相場操縦)に違反したとして、証券取引等監視委員会が金融庁に課徴金納付を命じるよう勧告した影響が広がりつつある。
沖縄振興開発金融公庫と三井住友トラスト・ホールディングス、トヨタファイナンス、三井住友信託銀行が30日、予定している起債の主幹事から野村証を除外すると、それぞれの引受会社が明らかにした。
国内社債市場では2024年度上期の発行総額が10兆円超と上期として過去最高を更新しており、証券各社は収益拡大でしのぎを削っている。今回の法令違反である国債先物取引での相場操縦は財務省も処分権限を有しており、証券業務への影響は起債主幹事以外にも拡大する可能性がある。
30日の東京株式市場で野村HDの株価は前週末比8.1%安と、ほぼ2カ月ぶりの下落率で終えた。信用リスクを表すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は27日時点で69.7ベーシスポイント(bp)と、証券監視委の発表前である24日の64.1bpから上昇している。
三井住友THと三井住友信託銀の広報担当者は、金融庁の処分の内容によっては起債運営に影響が出る可能性があると判断したと述べた。沖縄公庫資金課の喜納健介氏は、野村の信用に関わる問題で「販売に支障が生じる可能性があった」と説明した。
野村HDの広報担当者は主幹事からの除外が相次いでいることについて、「関係する皆さまにご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げる。再発の防止と信頼の回復に努めていく」と電子メールでコメントした。
北海道電力は27日に社債の主幹事から野村証を除外。財務グループの阿部憲一郎グループリーダーは「初めてのトランジションボンドということもあり、慎重を期したい」と話していた。
法令に違反した金融機関が起債主幹事から外れるのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に続き今年2度目。
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Takahiko Hyuga