今季のパ・リーグ1、2号は、プロ通算14本だった意外なあの人
開幕3連戦でまだ1本のアーチも飛び出ていなかったパリーグで待望の1号をマークしたのは、トリプルスリー男でも、おかわり君でも、北海道の主砲でもなく、千葉ロッテの7番打者、鈴木大地(26)だった。 29日、QVCマリンの“平日デーゲーム”で行われた対楽天1回戦。4-1と追加点を奪い、なお7回二死一塁のチャンスに2番手、横山貴明(24)の高めに甘く入ったストレートをジャストミートで振り抜く。打球は低い弾道を描いてライトスタンドへ飛び込んだ。ベンチに帰ると、すぐにチームメイトから「パ・リーグ1号だ!」とはやし立てられたらしいが、サプライズ弾はこれだけでは終わらなかった。続く8回一死一塁から、今度はアンダースロー、加藤正志(26)のストレートを風に乗せてライトポール直撃の2号。ベンチでは伊東監督から「忘れろ!」と声をかけられたという。 鈴木は、昨季は本塁打6本。プロ4年でも通算14本のバッターである。 「手ごたえはあったけれど、ありえもしない結果。僕はホームランバッターじゃない。今日の夜のスポーツニュースを見るまでは余韻に浸るけれど、12時を過ぎたら気持ちを切り替える。監督の言うように、これで自分を見失わないように、明日からはしっかりとヒットを狙います」 夜中の12時になると再びヒットメーカーに戻るとは……まるでシンデレラ?! 開幕戦の今季初打席で大谷翔平からツーベースを放ってから、以来、3つの四球を挟み12打席、ずっとヒットがなかった。「内容は悪くなかった」というが、気にならないわけがない。 「個人成績で一喜一憂しているようじゃ駄目なんですが、ヒットも出ていなかったし勝ちにつながる1本だったので嬉しかった。チームも一体になっていると感じる」 責任感の強い、キャプテンの鈴木らしいコメントだ。 伊東監督は、「本人はパワーがついたと言っていた」と笑っていたが、鈴木本人は「どうですか?自分ではわからない」と、それほどの自覚はないらしい。 ただ、昨年のオフからヨガに取り組んでいる。 「シーズンの結果が悪かったので、何かを変えようと考え、体も硬いし自分の苦手なものに取り組んだ。もし成果が出るとすれば夏場や体が疲れたときだと思う」 常に真摯で前向きだ。 ドラフト1位の平沢大河がキャンプ中にショートのポジションで起用されたとき、鈴木は二塁や三塁に回っていたが、キャプテンらしくチームのために懸命にプレーを続けた。こういうリーダーのいるチームは強い。日替わりヒーローが、次から次へと飛び出るのも強いロッテの典型的な傾向である。 鈴木の2発4打点で12-2と楽天に圧勝して、開幕から3勝1敗。「貯金を稼いでもらいたい」(落合投手コーチ)という狙いで、あえて裏ローテの“エース”に指名した先発の石川歩(27)が、7回を4安打1失点にまとめて1勝を手にした意義も大きい。ロッテがソフトバンク大本命と言われる1強5弱のパ・リーグに、旋風を起こしそうな予感がプンプンしてきた。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)