<下剋上で頂へ―’24センバツ・中央学院>第4部・つながる/中 成長の陰、先輩支え 悩みに寄り添い、共に練習 /千葉
昨年の秋季大会。三塁手・小沢遼大(2年)は、守備力や打撃の勝負強さでひときわ輝いていた。昨夏までは主力ではない「Bチーム」。コツコツと練習を重ね、レギュラーの座を勝ち取った努力家だ。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 元々、入学前から守備には自信を持っていた。しかし、1年冬は練習でエラーが続いた。そんな小沢を1学年先輩の渡辺力也さんは気に掛けていた。 渡辺さんもBチームで、気持ちが折れかけていた。小沢からうまくいかないことを打ち明けられた。「じゃあ練習しよう」と、2人で2023年1月に朝の自主練習を始めた。 打撃を強化したい渡辺さんがノックやバッティングをし、小沢はそれを捕球するのが日課だった。4、5月まで雨の日以外はほとんど欠かさなかった。渡辺さんは「一緒に技術面を上げることができた」と振り返り、「小沢は守備が魅力的で、捕れなさそうな打球を捕ったり、びっくりするプレーをしたりする面白い選手。頑張ってほしい」とセンバツでの活躍に期待を寄せる。 今春卒業する渡辺さんと同学年の森遥輝さんも後輩に目をかけてきた。 新チーム発足後、秋の県大会予選の四街道戦で敗北した後、内野手の森田倫揮(同)は、森さんを前に「また、自分のせいで負けてしまう」と吐露した。 遊撃手の森田は、エラーや打球を捕っても送球が間に合わずアウトにできなかった場面があり、責任を感じていた。敗者復活戦に向けてチームの士気は高まっていたが、森田は不調で焦りがあった。 敗者復活戦前の練習試合でも、やっぱりうまくいかない。昼食を早めに済ませ、ノックを頼んだ森さんを前に感情を抑えきれず、涙が自然にあふれ出た。 引退前に学生コーチをしていた森さんは頼られる存在だった。「泣いている場合じゃない」「能力はある」「チームにとって大事な存在だよ」。森田の責任感の強さは十分、理解し、声を掛けた。 朝と夜、特訓するようになった。県大会や関東大会に応援に駆け付けた森さんは、森田の成長を実感したという。 そんな恩人に森田は「センバツで成長した姿を見せることができたら」と誓う。【林帆南】