あえて「つらいこと」「苦しいこと」をやってみる…「最近、喜びを感じていないな」と思ったらちょっと試してほしいこと【心理学者が解説】
チョコレートを誰よりも美味しく食べる方法
「何を食べてもおいしく感じない」 もし読者のみなさんがそんなふうに感じているのだとしたら、なんでもおいしく食べるための魔法をお教えしましょう。 それはお腹をすかせること。 お腹がいっぱいだからおいしく感じられないのであって、お腹と背中がくっついてしまうくらい空腹になれば、なんでもおいしく食べられるのです。 惰性のように1日に3回の食事をとるのではなく、あえて1食だけ抜いてみてください。それだけでもずいぶんと違います。 ハーバード大学のジョルディ・クォイドバックはチョコレートが大好きな人を集めて、次のような実験を試みました。 第1グループは、我慢グループ。 このグループには「1週間、どんな種類のチョコレートも食べてはいけません」という指示を出しました。 第2グループは、自由グループで、2ポンド(約907グラム)のチョコレートを与えて、「好きなだけ食べてください」と指示しました。 第3グループは比較のためのコントロール条件です。このグループには、チョコレートに関して何も指示しませんでした。 それから1週間後にまた実験室に来てもらい、チョコレートを試食してもらって7点満点でおいしさに得点をつけてもらいました。 すると、1週間チョコレートを食べるのを我慢したグループが最もおいしさを感じる結果となりました。 日本はとても豊かな国ですから、普通に食事をしているつもりでも、食べ過ぎてしまうことが少なくありません。そのため「何を食べてもおいしくない」と感じる人の割合は増えているような気がします。 せっかくの食事なのですから、できるだけおいしくいただきたいですよね。そのためには、あえてちょっぴり断食してみるのがおススメです。お腹がすけば、何を食べてもおいしく感じられると思います。 内藤 誼人 心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表 慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる! 暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。
内藤 誼人