サッカーコラム J1・C大阪に誕生したニューヒーロー 日本代表に成長した先輩を超える存在を目指す
【No Ball、No Life】世代交代、新たなチームの顔が誕生した瞬間だった。6月15日の浦和戦(ヨドコウ)。先発出場したDF奥田勇斗(23)が、強烈なJ1初ゴールをマークした。 奥田が任された右SBはこれまでであれば、日本代表DF毎熊の持ち場。しかし、毎熊が海外クラブへの移籍を前提とした準備のため、チームを離脱。代わりにピッチに送り出されたのは、毎熊にとって同じ桃山学院大出身で4学年下のルーキー、奥田だった。 そして、1-0の後半4分。C大阪が右CKの機会を得ると、「コーナーキックを上げる時点でこぼれてきそうだなという感じがあったのでいつもより前のポジション取っていた」と嗅覚を生かす。すると、実際にボールが目の前にこぼれてくると、豪快に右足を振り抜き、ミドルシュートを決めた。 試合後、小菊監督は「めぐりあわせ、と冷静に感じた。クラブはそうやって新たなヒーローが生まれて、次のチームの中心となって成長していく。チームも歴史を刻んでクラブとして大きくなる。まさにその瞬間だった」とコメント。試合後のピッチでは毎熊がサポーターから温かい言葉を送られており、指揮官も「マイク(毎熊)もこれで気持ちよく海外のほうに行けるんじゃないかなと思います」とうなずいた。 奥田について「彼の特徴はキックのクオリティーが素晴らしいものがある」と分析し、「まだルーキーであれだけの堂々としたプレーができる選手は私の指導キャリアのなかでもなかなかいない」と評価。そして「マイク(毎熊)の桃山学院大の後輩。このクラブを背負っていってほしい。日本代表を目指して、海外を目指して、常に目標高く取り組んでほしい」と期待を寄せた。 C大阪の新たな顔として期待がかかる奥田も「毎熊くんを送り出す日にシュートを決めて、チームも勝てた。後は任せてくださいという気持ちです」と胸を張った。毎熊の思いは奥田に受け継がれ、それがまた新たなスター誕生へとつながっていく。(西垣戸理大)