鈴木県政スタート、初会見 リニア問題は関係機関と信頼構築重視
鈴木康友新知事は29日に初登庁し、鈴木県政がスタートした。就任式で職員に訓示した後、初の記者会見に臨み、リニア中央新幹線問題でJR東海や国土交通省、大井川流域市町との信頼関係の構築を重視する姿勢を示した。静岡工区の着工許可については「課題への解決策の各主体の合意が得られ、流域市町の不安が解消されること」と〝条件〟を挙げ、納得されるよう努力することを前提に「最後は政治決断も必要」とも述べた。 鈴木知事は冒頭、「『オール静岡で幸福度日本一の静岡県を作る』ことを目標にする。国土縮図型都市とも言える静岡県の運営、経営に経験を生かして取り組む。まずはしっかりと職員からヒアリングを受けて全容を把握後、スピーディーに事に当たる」と方針を示した。県政運営に当たっては「さまざまな課題を県議会、関係者としっかり連携をしながら県政の発展に尽くす」と述べ、選挙戦で他候補の得票が多かった地域や県議会などの関係者への配慮をにじませた。 優先的に取り組みたい県政課題を問われ、「県民の関心の高い産業政策に特に力を入れたい」と、企業誘致やスタートアップ育成、1次産業、観光などあらゆる分野の産業振興を進めるとの熱意を語った。 リニア問題では「連携をもとに一つ一つ課題をクリアする体制づくりのため、各主体とコミュニケーションをとる」とJR東海社長などと早期の面会を希望。リニア沿線の隣県との連携にも自信を見せた。山梨県で進む県境付近の高速長尺先進ボーリングについては「調査なくしては進まない。一般論として調査は必要。工事とは切り離すべき」との指摘した。一方で、「関係者が多く、県の一存だけで進まない部分もある。軽々に事を運んで、新たな摩擦を生じさせてはいけない」とも述べ、「慎重かつスピーディーに進める」と言葉を選んだ。 川勝県政との違いを問われた際には、「細っていた国とのパイプを再構築したい」と県議会や国と良好な関係を築くとの決意を改めて示した。
静岡新聞社