13年の時を経て再び原子炉起動…半径30キロ圏内住民の避難計画実効性に課題残す中で島根原発再稼働
山陰中央テレビ
島根原子力発電所2号機の再稼働について、安定した電力の確保の一方で重大な災害が発生した時の避難計画の実効性については課題が残されたままです。 島根原発2号機は、東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型とよばれる原子炉で、この型式の再稼働は、2024年10月の宮城県の女川原発に続き2基目となります。出力は約27万世帯に電力を供給できる82万キロワットで、1基で島根県と鳥取県で必要な電力量の8割をまかなえる計算です。 中国電力は今回の再稼働により、2025年度の発電量全体に占める原子力の割合を15%程度と見込んでいます。火力発電の割合が下がることから燃料費を抑えられ、さらに年間約200万トン程度のCO2削減効果が期待できるとしていて、中国電力は年間400億円程度の収支改善に繋がるとしています。 こうした中、期待されるのが電気料金の見直しですが、中国電力は業務用電気料金については2025年4月から1キロワット当たり0.3円値下げするとしていた一方で、一般家庭向けについては2023年の料金改定で今回の再稼働を踏まえて算出していて、現時点で新たに見直す予定はないとしています。 今後は、万が一の事故に備えた避難計画の実効性が課題といえます。2号機が再稼働した7日には、JR松江駅前で再稼働を知らせる号外が配られた一方、すぐ近くでは抗議の集会も開かれました。 原発ゼロをめざす島根の会・石田忍共同代表: とても容認できない。原発ゼロをめざして声を上げ続けたいと思っている。 全国で唯一、県庁所在地に立地する島根原発。国が、避難圏域として示す半径30キロ圏内には、松江市や米子市など島根・鳥取両県6市の約45万人が住んでいます。その避難計画など安全対策は喫緊の課題のひとつです。 2024年1月の能登半島地震では、避難計画の実効性が揺らぐ事態が起きました。避難ルートに指定されている道路の一部が通行止めになったほか、家屋倒壊などで原発事故の際に想定される屋内退避そのものができない状況になりました。 島根県はこれを踏まえ、2024年の原子力防災訓練で初めて原子力災害と地震による道路の寸断などが同時に発生する「複合災害」を想定に加え、船を使った海上輸送なども含めて住民の避難手順などを確認しました。 訓練参加者: 我々が自家用車で逃げるにも不安な部分があるので、避難ルートの道路の強靭化をお願いしていかないといけない。 参加者からは、本当に避難できるのかという戸惑いの声も聞かれました。 原子炉の停止から13年近くの歳月を経て再び動き出した島根原発2号機。安定した電源の確保が必要とされる一方、避難計画の実効性をどのように担保するのかは、今後も考え続けていかなければならない課題といえます。
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