「右腕に力が入らない」初場所休場の貴景勝 過去には同症状で引退した力士も…大関陥落は必至か!?
大関貴景勝が慢性的な首の痛みによって4日目から休場している。 今場所開始前から首の不調を訴えており、稽古ができたのは2、3日だったと関係者に話していたというが、2日目の熱海富士戦で状態が悪化。3日目の若元春戦に敗れ、休場を決めた。 【思わず同情】「つ、つらいんだよぉ」…泥酔の田子ノ浦親方「弟子と不倫し逃亡の美人女将」画像 同日、日本相撲協会に「頚椎症性神経根症で2週間程度の安静加療を要する」との診断書が提出されたが、具体的にはどういった症状なのだろうか。 「頚椎症性神経根症は、脊髄から神経が枝分かれし頚椎(首の骨)から外に出てくる通り道で何らかの原因により神経が圧迫され、炎症が起こることにより生じる神経障害です。加齢性や繰り返しの外力により変形し、骨棘(ほねのとげ)が形成され、神経の通り道が狭くなっていると起こりやすいといえます」(日本体育協会公認スポーツドクター・伊藤雄人氏) 首に出る椎間板ヘルニアと似たような症状だそうで、正常な骨の形状の若者でも寝ているときの首の体勢などにより、神経が圧迫され、神経障害を起こすことがある。アスリートではなくても比較的、起きやすい症状と言えるが、 「一度神経が炎症を起こすと神経が腫れた太い状態になり、通り道が相対的に狭い状態になってしまうため、容易に神経に触れて刺激してしまうことから、神経の腫れが治まるまで症状が出ないように安静にする必要があります」(前出・伊藤氏) という。決して楽観はできないのだ。同症状が悪化し、引退を余儀なくされた力士もいる。石浦(現・年寄間垣)である。 「身長172.5センチ、体重100キロ以下の小兵にもかかわらず、最高位西前頭5枚目まで上り詰めました。闘志むき出しの相撲で人気がありました。’22年3月場所3日目の琴ノ若戦で土俵下まで飛ばされて動けなくなりました。協会に『頚椎症性神経根症の増悪により2週間程度の安静加療を要する』との診断書を提出して4日目から休場しましたが、治療が長引き、再出場が叶わないまま引退となりました」(スポーツ紙記者) 石浦は、引退会見で、 「健康な体で子どもの成長を見守りたい」 と引退理由を語り、 「無理して続けて下半身不随になるのは嫌なので」 と話した。そもそも、貴景勝の首痛の悪化の原因は、’21年7月場所での逸ノ城(’23年引退)戦の立ち合いで当たった後、力が抜けたような状態で一方的に寄り切られた取り組みだといわれている。貴景勝は土俵下でしばらく動くことができず、車いすに乗って花道を引き揚げた。師匠の常盤山親方(元小結・隆三杉)は、 「思い切りいったら電気が走った。相当痛かったのだと思う」 と記者に話していた。今回の症状についても、 「若元春に負けて『右腕に力が入らない』と言っていたが、それは今まで聞いたことがなかった。首はずっと悪かったけど、こんなことは初めてだから、ちょっと心配」 と表情を曇らせる。 取組内容、症状ともに、石浦のパターンと非常によく似ている。 「続けていれば半身不随になるのは脊髄自体の圧迫がある場合です。石浦関の場合は阪神の赤星選手が引退したのと同じ状態で、今回の貴景勝関とは別ではないかと思います。しかし、相撲はもちろん首に負担のかかるスポーツです。 圧迫された神経によって症状が異なり、肩が上がらない、肩がしびれる。手首が反らせない、親指がしびれる。肘が伸ばせない、中指がしびれるなどです。筋力低下が持続する場合や、症状が改善しない場合に手術となることもあり得ますが、スポーツ選手の場合、長年の負担が原因となっていることが多く、手術で完治を目指すのも容易ではありません」(前出・伊藤氏) 元相撲協会外部委員で漫画家のやくみつる氏は、貴景勝の今後について、このように話した。 「かなり重い症状ですから、どうでしょう……。大関を維持するのは難しくなった気がします。最近、高安や正代、御嶽海など大関から陥落しても長く相撲を取る力士は多いですが、押し相撲で大関陥落後も長く相撲を取った力士は出島(現・年寄大鳴門)しかいません。彼は一発で相手を仕留めるタイプでした。 しかし、貴景勝はそうではありません。何度も当たって衝撃を与えて相手を押すタイプなので、今後はその相撲が可能なのかどうか。そうなると……見切りをつけるタイミングなんじゃないかと、私は思っています。かなり早熟ではありましたが、自分の身体のことを考えてほしい。20代で引退という結果になっても仕方がないと思います」 2月18日には、’20年8月に入籍した妻との結婚披露宴を控えている貴景勝だが、その開催にも関係者から心配の声が上がっているという。場所終了後の動向に注目が集まる。
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