中国で拘束の日本人「懲役12年」刑が確定 「米中スパイ戦争」のなかでターゲットは米同盟国にも
日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が11月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国でスパイ容疑で拘束され、懲役12年の刑が確定した日本人男性について解説した。
中国で拘束の日本人男性、懲役12年の刑が確定 ~松野官房長官、早期帰国に向け働きかけを強調
中国で「反スパイ法」に違反したとして拘束された日本人男性について、懲役12年の実刑判決が確定した。松野官房長官は11月13日の会見で「司法プロセスの透明性の確保などを働きかけている」と説明した上で、早期帰国に向けた働きかけを続けると強調した。 秋田)日本だけを狙い打ちしているというよりは、米中のスパイ戦争が激しくなってきているのでしょう。そのなかで、7月に中国が「反スパイ法」を改正し、捕まえやすくしているという底流があるのだと思います。
米中冷戦のなかでの「反スパイ法」改正 ~いままで「白」だったものが「グレー」に
飯田)日本人をターゲットにしているというより、もっと大きな構図があるのですね。 秋田)そうです。日本のためだけに反スパイ法を改正し、日本人の拘束を増やしているわけではないと思います。中国はアメリカとのスパイ戦争、もっと言えば米中冷戦のなかで、「中国国内の情報や技術を取られる」というリスクがあります。ハイテク関連の情報もありますが、それだけではなく、取られたくない共産党内の情報など、さまざまな軍の機密があるわけです。 飯田)機密情報を。 秋田)その流出を防ぐために反スパイ法を改正し、「国家の安全に危害を加える」という非常に曖昧な定義で、十把一絡げに誰でも拘束できる権限を国家安全省と公安省に与えたわけです。もちろんアメリカとの対立が底流にあるわけですが、当然、法律をつくったのに、まったく成果が上がらないというわけにはいきません。例えば40キロ制限の道路があり、これまで60キロくらいの車は「いいよ」と言っていたけれど、少し交通規制を厳しくしたとなれば、42~43キロの車も捕まえていくわけです。 飯田)少しでもオーバーしていれば。 秋田)そういったなかで、本来であれば白なのに日本企業の行為がグレーとみなされ、捕まっているような状況ではないでしょうか。