「SNSで投稿するだけ」の副業広告、相談したら60万円要求も…20~30代女性のトラブル続発
副業をうたうSNSの広告を見て応募し、トラブルに遭う人が後を絶たない。「SNSで投稿するだけ」などと簡単さをアピールする誘い文句が特徴で、サポート代と称して事前にお金を請求したり、途中で振り込みを求めたりする手口が大半だ。相談者は20~30歳代の女性が目立っており、消費者庁などが注意を呼びかけている。(竹田章紘) 【グラフ】SNSがきっかけで「簡単に稼げる副業」トラブルに陥る人が急増
目にとまった「稼げる副業あります」
「稼げる副業あります」。昨年8月、福岡県に住む20歳代の看護師女性は、アカウントをフォローしていたインスタグラムの投稿に目がとまった。このアカウントではいつも、女性を名乗る人が看護系の情報を投稿していたため、「看護師をしながら自分も副業ができるかも」と、オンラインで相談してみることにした。
相談相手は投稿主の女性だと思っていたところ、オンライン画面に出てきたのは同世代くらいの男性だった。「仕事は自分のインスタで企業の商品を紹介するだけ。うまくいけば月に何万円も稼げる」と言われ、半年間のサポート代などとして60万円を要求された。
大半の支払いを済ませた数日後に不安になり、周囲に相談すると、「詐欺じゃないか」と言われた。契約書では返金に応じないとなっていたため、司法書士事務所に対応を依頼。返金は受けられたが、司法書士事務所への支払いもあり、思ったほど手元に戻ってこなかった。女性は「後悔しかない。いつも見ていたインスタからこんなことになるなんて」と肩を落とした。
副業トラブルに関する相談件数は急増
「簡単な作業で稼げる」などとうたう副業トラブルに関する相談件数は、年々増加している。国民生活センターによると、2020年度に1341件だった相談件数は、23年度には約2・8倍の3700件に急増。24年度(4~11月)も2257件と前年度同期を上回るペースになっている。
誘いの手口は様々で、「SNSの広告に『いいね』を押すだけ」や「動画を見るだけ」、「相談に乗るだけ」などと、簡単さや手軽さを強調するパターンが目立つ。実際に稼げることを信じさせるため、最初は数百円から数千円の報酬がもらえるケースもあるという。