アウディの最新バッテリー技術 新世代BEV、Q6 e-tronのバッテリーはこうなっている
新しいPPEプラットフォームを使うアウディの新世代BEV、Q6 e-tronの技術を、ドイツ・ミュンヘンで3月に開催されたテクニカルワークショップ「TechDay PPE/E3 & Sneak Preview」で取材した。
PPEでアウディが使うバッテリーとは?
アウディQ6 e-tron(とハイパフォーマンス版のSQ6)は、ポルシェの新型マカンと同じ、VWグループのBEV専用の新プラットフォーム、PPE(Prmium Platform Electric)を使う。 あらゆる意味で新世代となるPPEでは、バッテリーも刷新された。どんなバッテリーでどんなテクノロジーが使われたか、テクニカルワークショップで取材した。 BEVにとって駆動用二次電池とは、ICE車にとっての「燃料タンク」とイコールではない。燃料タンク+エンジンといってもいいのがBEVのバッテリーだ。 PPEを使うQ6/SQ6は、ミディアムサイズのSUVだ。ボディサイズは 全長×全幅×全高:4771mm×1939mm×1648mm ホイールベース:2899mm 車両重量は2325kgである。 搭載するバッテリーは、NMC(ニッケル/マンガン/コバルト)のリチウムイオンバッテリーだ。セルに含まれる比率は、ニッケル8:コバルト1:マンガン1である。セルは、CATLから供給を受ける。アッセンブリーはアウディ・インゴルシュタット工場で行なう。新たに専用の組立ラインを作った。VWグループの他の工場でサブアッシーされたものをインゴルシュタットで最終組立を行なう。 ちなみに、現在はCATL一社供給だが、マルチサプライヤー戦略に基づき、将来的には他社からも供給を受ける計画だ。 容量は100kWh(グロス、ネットは94.9kWh)。Q8 e-tron(100kWh 正味94.9kWh)の航続距離は625kmである。 100kWh Battery 電池容量:100kWh(gross)94.9kWh(net) アーキテクチャー:800V モジュール数:12 重量:約570kg セル・キャパシティ:152Ah セルタイプ:角形 バッテリータイプ:リチウムイオン グロスと正味の差(5.1kWh分)について、担当エンジニアに尋ねると 「過剰な電力呼び出しによって劣化が早く進むので、残りの数%はユーザーに開放しません。同じような安全枠を下限でも設けています。ユーザーに対する表示が0%のときも実際には数%は残している」とのことだった。 これまでアウディが採用してきたバッテリーシステムと比較すると、Q6のバッテリーパックは、12個のモジュールで構成されている。車両縦方向に3列×横方向4列の12 モジュールだ。1モジュールの重量は約35kgである。 1モジュールのセル数は15個。つまり15×12=180個の角形セルを使う。ちなみにQ8 e-tronのバテリーは36モジュール(432セル)だった。 モジュール数を減らす利点がある。軽量化されるのはもちろん、ケーブルや高電圧コネクターの数も少なくて済む。ねじ接続も大幅に削減される。モジュール間の電気的接続が短くなり電力損失と重量が大幅に削減できる。新型バッテリー・システムの進化を数字にすると(アウディe-tronと比較すると) セル単位でエネルギー量が+150%、エネルギー密度が+15% モジュール単位でエネルギー量が+215%、エネルギー密度が+23% バッテリーパック全体でエネルギー量が+5%、エネルギー密度が+30% となっている。トータルで重量はマイナス15%、充電時間はマイナス30%となった。