致死率30%“人食いバクテリア” 患者数過去最多に、地方でも感染拡大傾向 切り傷、擦り傷から侵入「劇症型溶連菌」
■致死率30%、国内で急増 “人食いバクテリア”に感染したことで腫れあがり、赤紫色に変色した70代女性の足の画像です。 手足に腫れや痛みが出たあと急速に悪化するのが「劇症型溶連菌」感染の典型例で、組織の壊死や多臓器不全などが起こり死に至る場合も多く致死率は30%とされています。 富山大学附属病院感染症科 長岡健太郎医師:「『足が痛い』ということで救急車で整形外科の外来を受診された方がいらっしゃって、診察結果を待っている間の1時間~2時間後に急変されて、心肺停止に近い状態になっていたというケースもあります。救命できたとしても、脚を切り落とす、手を切り落とす、そこまで至ってしまうことも少なくありません」 この感染症が今、国内で急増しているのです。 ■ヨーロッパで“強毒株”が発生 なぜ今、感染が拡大しているのでしょうか。 富山大学附属病院感染症科 長岡健太郎医師:「一番の要因として言われているのが海外、とくにヨーロッパで発生した強毒株の流行です」 新型コロナの収束に伴い、海外からの入国規制が緩和されたことで強い毒性と感染力を持ったUK系統株という溶連菌が国内での流行につながった可能性があるといいます。 富山大学附属病院感染症科 長岡健太郎医師:「UK系統株の流行拡大が明らかにみられたと報告されたのがここ1年の話なんですね。加速度的に増えていくということが起きた場合は、(富山県内でも)今年から来年にかけて数に現れてくるのではないかなと」 劇症型溶連菌は、富山県内でも今年に入り8人が感染、3人が死亡しました。 ■切り傷やすり傷から感染 劇症型溶連菌は主に手や足の切り傷やすり傷から感染します。長岡医師は感染防止対策として消毒を徹底するなど傷口を清潔に保つよう呼びかけています。 富山大学附属病院感染症科 長岡健太郎医師:「皮膚が赤くなって、ものすごく痛くなるということがあった場合は医療機関に早めに受診するということを覚えておいていただけるといいかなと」
取材後記: まずはこうした感染症があることを知ることが大事です。長岡医師は「受診の際は感染症専門医がいる総合病院を選んでほしい」と話していました。ただ、過剰に反応しすぎず、傷口はきれいに保つ、手洗いをするといった基本的なことを意識し直すきっかけにしてほしいなと思います。
チューリップテレビ