PGAツアーはドライバーでもパターでもなく「ウェッジゲーム」だった!? グリーン周りのショットの考え方はフルショットとどう違う?【解説「ザ・ゴルフィングマシーン」#107】
ウェッジゲームの「カルチャー(考え方)」とは?
そこでいわゆるグリーン周りのショットが上手な人が何をやっているかを調べると、フルショットと完全に切り替えて違うことをやっているというのです。つまり、ウェッジゲームの独自の「カルチャー(文化、考え方)」を作ることが重要だというのです。
そのウェッジゲーム専用の概念をフィネスウェッジ(Finesse Wedge、Finesseは「技巧」などの意味)というのですが、大事なことは本人にとって「Forgiveness=やさしい」、つまり成功確率の高いショットであることと、「Versatility=多才」、状況に合わせた高さや柔らかさを出せることだというのです。
では具体的にフルショットの場合と何が違うのかですが (1) ハンドファーストにし過ぎない インパクトをクリーンにするためにハンドファーストにするとウェッジのバウンスがなくなってしまうので、ほぼシャフトが地面に垂直な状態でインパクトするイメージを持つ(球を低くしたい場合を除く) (2) 左足体重 どれほど高さを出したくても、右足体重ではすくい上げるヘッド軌道になるため、ほぼ全ての状況で左足体重。高さはロフトで出すもの (3) 左腕は「スパゲッティアーム」 これも面白い表現なのですが、左腕はぶらーんと伸びているが決して硬さはない状態であるべきで、さながらスパゲッティが左肩から垂れ下がっているくらいのイメージ そのようなセットアップのイメージを持った上で、ボール位置でインパクト軌道の緩急、フェースを開く・閉じる、スタンスのオープン・クローズなどの変化をつけることで、ほぼどのような状況にも対応できるということでした。 そしてアプローチショットでも、「高さを出して止められることが絶対条件」。そもそもTPIのテストコースも地面が「固まった砂」のように硬く、その表面に密度の濃い洋芝が貼り付いているような状態なので、どうしてもボールが強く出てしまいがちです。カート道から柔らかくアプローチするのって難しいと思いますが、究極的にはそういう技術が必要なのだと思います。 ちなみに「ザ・ゴルフィングマシーン」では、主にフルショット時のパワーを伝えやすい構造について書かれていますので、かなりしつこくハンドファーストを推奨する内容になっていますが、アプローチになると話は変わってくるという点で非常に興味深い内容でした。 来週はもう少し実践的な内容をご紹介したいと思います。
大庭可南太
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