有志ら60人が「御田植祭」 靖国神社の奉納餅つきに向け 南房総(千葉県)
南房総市川谷の水田で21日、東京の靖国神社の新嘗(にいなめ)祭で行う奉納餅つき大会(同実行委員会主催)に向けた「御田植祭」が行われた。県内外の実行委員らと丸山地区の住民ら約60人の有志が、13アールの水田にもち米の苗を気持ちを込めて手植えした。 新嘗祭は、その年の新穀を天皇が神々に供え、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を感謝する神事。毎年、11月23日に全国の神社で実施されている。 同実行委員会は、第二次世界大戦の戦没者の手紙の多くに「おなかいっぱい、雑煮が食べたい」と書き残されているのを読んだ会員らが、その思いに応えたいと有志を募って、平成6年に発足。毎年、新嘗祭の日に外苑で開催し、ついた餅を鏡餅として同神社に奉納する他、参拝客らに「振舞い餅」として配っている。 使用するもち米は全国各地の有志から募ってきたが、令和5年からは自分らで丹精したものを奉納したいという思いから、手植えでの栽培を検討。実行委員の1人で、館山市長須賀の黒髙勝人さん(47)が、靖国神社崇敬奉賛会の会員で南房総市丸山地区の黒沼弘さん(43)に相談。黒沼さんの紹介で、同地区でコメ農家を営む野口誠さん(50)に水田の使用を依頼し、快諾されたため、昨年から「御田植祭」として実施している。 この日は、地元住民による平群ばやしや実行委員会による戸山流抜刀術の演武奉納の他、南房総市宮下の莫越山神社の諏訪彰義宮司による神事が執り行われた。その後参加者らは、ヒメノモチの苗を手に水田に入り、太鼓の合図で一斉に植え付け開始。子どもから大人までが、慣れない田植え作業に足を取られながらも、汗を流した。 実行委員会の五十嵐博臣代表(53)は、「昨年に引き続き、たくさんの協力に感謝。つながった縁を大切に、環境を守りながら、若い人たちと力を合わせて継続していきたい」と話していた。 今後は、野口さんらを中心に水田の手入れを行い、6月と7月に成長の記録をとり、8月上旬に収穫を予定しているという。