「高校生の自由な選書、尊い」 書店の〝推し本〟企画に100冊超 図書委員の「プライド感じる」
高校生は「売れているか否か」は関係ない
今回、「選書」を軸とした企画をするにあたり、工藤さんの念頭には「夏休みの課題図書」とは違うものを作りたいという思いがありました。 これからの時期、夏休みの宿題として読書感想文が出されることも多く、その課題図書などが書店でも並びます。 「課題図書は大人が定めたもの。もちろんそれはそれであっていいのですが、子どもの方からはなかなか主体的に読もうとはなりにくいかと思います。それで感想文を、といわれてもどうしても義務や強制感が出てしまう面もあります」 それとは違った形でみせられると思ったのが「友だちから薦められた本」。同世代から推薦された本の方が読んでもらえるのではないかと思ったといいます。 さらに、その結果「高校生の自由な選書」を味わうことができたといいます。 「書店員だとどうしても、自分の売りたい本よりも、『売れている本』を薦めがちなところがあります。でも、選書した高校生にとっては売れているかどうかは関係ない。純粋に好きなものを薦めてくれます」 「高校生の自由な選書って、すごく尊いと思います」
道内20店舗が興味「うちでも」
今回のフェアを知り、道内の他の書店からも「うちでもやりたい」と声かけがあるといいます。選書を出してくれた生徒の地元の書店などを中心に20店舗ほどの手挙げがあるそう。 地方の書店がなくなっていくニュースも話題に上ります。 工藤さんも「経営が厳しい書店も多いです」とした上で、「書店だけでやろうとしてもできないこともあります。本に関わる人同士が手を組んで考えていくことで、今回のように話題にも来店動機にもなる可能性があり、企画してよかったです」と話します。 また、今回のような参加型のフェアは、場所や属性を問わずに展開することができると工藤さん。さらに、「書店で企画するだけでなく、図書館関係者や学生さんが『こういうのをできませんか』と書店に持ち込むアプローチもあると思います。同様の取り組みが他の地域にも広がっていけばいいなと思います」