笠岡市 今後10年間で100億円の収支不足見込み…背景に”見通しの甘さ”指摘【シンソウ・岡山】
岡山放送
独自取材でニュースを深堀りする「シンソウ」です。笠岡市は、今後10年間で100億円の収支不足が見込まれるとして大幅な事業見直しを迫られています。なぜこうした事態になったのでしょうか。 (笠岡市 栗尾典子市長) 「早急に抜本的な改善策に取り組むと同時に、市民の皆様にも現在の財政状況について丁寧に説明し、理解をいただけるよう努めていく」 2024年4月に行われた笠岡市長選で初当選した栗尾典子市長が、市長就任からわずか4カ月後に発表したのは、市の危機的財政状況でした。今後10年間で年平均約10億円の財源不足が見込まれ、市の貯金に当たる財政調整基金も2025年度には底をついて赤字になるという驚くべき内容でした。 なぜここまで財政が悪化してしまったのか、その要因として栗尾市長は、物価高騰や人件費の上昇に対する見通しの甘さがあったことをあげています。 (笠岡市 栗尾典子市長) 「2022年度・2023年度の物価の上昇や 人件費の上昇、人事院勧告による人件費(の上昇)が 急激に負荷をかけている」 市は、11月18日、財政健全化プランの素案をまとめ、発表しました。約340の事業のうち95の事業を廃止、102の事業で一部見直しを進めるなどして歳出削減を図るほか、市有地を売却したり、ふるさと納税を推進するなどして収支の改善を図ることにしています。 (笠岡市 栗尾典子市長) 「財政調整基金があればある程度そこで耐えられて、少しずつの改善を積み重ねればいけたと思うが、貯金が全くないので、それに対応できないということで非常に厳しい状況」 今回の突然の見直しの方針に市民からは不安やとまどいの声があがっています。 NPO法人「島づくり海社」の理事長を務める鳴本浩二さん。笠岡諸島の島民の生活の安定や福祉の向上を目的に活動してきました。特に島民同士の交流を深めるため1998年に始まった「島の運動会」は、市の委託を受け鳴本さんたちが中心となって島を盛り上げようと開催してきましたが、今回の事業見直しで廃止の方針が打ち出されました。 (NPO法人島づくり海社 鳴本浩二理事長) 「減額や事業廃止の進め方がどうなのかという疑問を持つ。(事業見直しを)もう少し丁寧に示してもらって、聞いてもらえればありがたかった」 鳴本さんは、市の対応に不信感を抱きつつも、島の現状をよく理解したうえで事業の見直しを進めてほしいとしています。 (NPO法人島づくり海社 鳴本浩二理事長) 「行政の人に、島の人の暮らし、どういう暮らしをしているのか、何が困っているか、今何が不安なのかとかをよく見てほしい」 市では、12月23日まで市民からの意見、パブリックコメントを募集していて、2025年2月ごろをめどに財政健全化プランの最終案をまとめることにしています。 これほど大規模な事業見直しは市民生活にも大きな影響を及ぼすだけに、市民に対しては丁寧な説明と理解が求められています。
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