農業しながら太陽光発電 富山県高岡市の会社と南砺市連携、城端で有機栽培やCO2削減推進
農産物加工品卸と輸入業の「山文」(高岡市、松村光祥(みつよし)社長)は2024年度、南砺市立野原東(城端)の桜ケ池クアガーデン近くの農地で営農型太陽光発電事業を始める。地元農家から広さ2520平方メートルを借り、太陽光パネルを設置したうえで、営農しながら発電する。農地の一時転用許可を受ければ事業ができ、発電と農業の両方の収入が期待できる。同社によると、富山県内初の試みという。 発電した電力は地域電力会社のなんとエナジーが買い取り、全量を南砺市内の公共施設で使う。市が地域産の再生可能エネルギーを購入するのは初めて。送電開始時期は未定。山文と市、なんとエナジーの3者による連携協定の締結式が4日、市役所で行われた。 山文は花卉(かき)流通業ジャパン・フラワー・コーポレーション(射水市)のグループ会社。太陽光発電施設は昨年12月に着工し、今年1月に完成した。農地のうち約1500平方メートルに設けた。名称は「山文城端第一発電所」。総事業費は約3千万円。
年間発電量は11万6600キロワット時を想定。一般家庭で約25世帯分がまかなえるという。今回の供給で市役所として年間約67トンのCO2削減につながる。 今後、地元農家の協力を得ながら金沢大の学生と農業法人を立ち上げ、高麗ニンジンを有機栽培する。栽培時に遮光が必要で、高さ約2・5メートルの支柱を立てて設置した太陽光パネルが役立つという。収穫は5年後を見込む。販路は山文のルートを使い、健康飲料の原材料にする。 田中幹夫市長は「学校などに供給して環境教育にも役立てたい」、なんとエナジーの北川智之社長は「今後は自前の再生可能エネルギー発電事業も考えたい」と述べた。山文の松村社長は「南砺の地でさらに営農型太陽光発電事業を増やしていきたい」と語った。