今、京都にある世界遺産「金閣寺」近くの住宅街で、放置された“廃屋”が問題となっています。 「イット!」では、現地を取材しました。 近隣住民からは困惑の声が今、上がっているようです。 立ち並ぶ住宅の上にそびえる建物。 京都市内で、数年間放置されたままになっているという廃屋です。 周りを山に囲まれたこの静かな住宅街に、多数の廃屋や不法投棄されたごみが放置され、問題となっているのです。 現場は、世界遺産「金閣寺」の近くにある京都市北区の原谷地区。 問題の廃屋群を確認するために、「イット!」取材班が住宅のすぐそばにある山に入ると、すぐにその1つが現れました。 トタンの壁がツタに覆われたこの建物。 建物の上に建物、そしてさらにその上にも建物が積み重なっているという妙な構造をしていました。 原谷地区の環境改善を目指す住民の吉田典夫さんは、この建物が作られた状況を「家じゃない。廃材を積み重ねた物です。建物を積んでいったんですね。5階建てくらい、5層言うんですかね、ジブリの城みたいなのができあがって…」と話します。 廃屋とみられる建物は、山の奥にもありました。 その外壁の一部は崩れ、中には大量の木材などが散乱した状態。 さらに周囲には、洗濯機や冷蔵庫などの廃棄物が大量に放置されています。 原谷の環境をまもる会 会長・吉田典夫さん: （建築は）違法!違法!全く違法ですね。しかも持ち主は絶対名乗らないし、どっから来ているか言わないし…。 京都市によりますと、このエリアは市街化調整区域で、市に許可なく建築物を建てることはできません。 しかし、複数の土地所有者が、1982年ごろから約20軒の建物を無許可で建築。 当初は倉庫や資材置き場などとして使われていたものの、やがて放置され、大半が廃屋状態となったというのです。 しかも、その一部が立っているのは土砂災害警戒区域。 近隣住民は「斜面が崩れ落ちて廃材たちも崩れ落ちてきたら、本当に怖いなと思います」「迷惑ですね。風が吹いたら、いつトタンやら飛んでくるか分からない状態なので、土砂災害とか周りで起こってるんで、そういう心配もありますね」「（初めからこんな感じ?）全然。松の木もいっぱいあって、緑がいっぱいで自然がいっぱい。だからこんなんになるとは全然思わなかった」と不安は尽きません。 住民らは2023年6月、京都市に建物の解体などを要求。 これを受け、京都市は建物の所有者に解体を求めようと連絡を試みました。 しかし、その多くは音信不通で、連絡が取れても「解体の資金がない」などの理由で足踏み。 そもそも廃屋の多くが私有地に建っているため、指導しかできないのが現状だといいます。 「イット!」の取材に京都市は、「早期に撤去するよう所有者に粘り強く指導を進める」と回答。 事態の改善に向け、様々な手段を講じる考えです。