社長が遅刻社員に激怒「1分遅れたら罰金5000円取る!」これってアリ?→社労士の回答が「確かに」だった
● 遅刻は「労働契約の不履行」に当たるが、 違約金を定めてはならない 高木社長「遅刻や欠勤で罰金という話は時々耳にしますが、何か問題でも?」 カタリーナ「困ったものね。そういう類(たぐい)の話は、ほとんど違法と思った方がいいわ。使用者は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定したりする契約をしてはならないことになっているの。遅刻も労働契約の不履行に当たるから、労働基準法に抵触することになるわね」 高木社長「では、1日無断欠勤したとしても、会社は何もできないのですか?労働契約の不履行に該当しますよね?」 カタリーナ「これには別の考え方があるわ。まず、欠勤や遅刻で仕事をしていない場合、ノーワーク・ノーペイの原則から不就労分の賃金はカットできる。これは当然よね。もう一つは、懲戒処分として減給する場合」 ● 「遅刻で企業秩序を乱した」として 社員を懲戒処分できるか 高木社長「そうか、その手があったか!懲戒は、企業秩序を乱した場合に処分できるものですよね?」 カタリーナ「でも、注意して。懲戒処分を行うには、就業規則に懲戒事由の種類と程度が明記され、従業員にも周知されていることが必要よ。一般的な程度としては、軽い方からけん責、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇といった処分がある。ただ、就業規則に規定されていたら何でも有効となったら、会社のやりたい放題にできてしまうでしょ?だから、合理的な内容であることも大事になってくるの」 高木社長「なるほど」 カタリーナ「懲戒を行う場合も、問題となっている社員の行為の性質や態様(たいよう)その他の事情に照らして判断すべきものよ。軽微な事由に対して、いきなり重い処分を下すようなことがあれば、処分自体が無効となる恐れもあるわ」 高木社長「そうですか……」
● 問題社員を減給する場合にも ルールがある カタリーナ「原則的な考え方としては、うっかり遅刻をしてしまう社員に対しては口頭注意や譴責など軽めの処分、度重なる注意にも関わらず繰り返すような場合は、減給の制裁も考えられるわね。ただ、減給をするにもルールがあるから気を付けて」 高木社長「どんなルールですか?」 カタリーナ「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えるのはNG、総額が1賃金支払期における賃金総額の10%を超えるのはNGということ。たとえば、1日あたりの平均賃金が1万円の場合、1回の額は5000円を超えたらダメってこと」 高木社長「そう簡単に給与カットはできないということか。それに減給といっても、大した金額ではないのですね」 カタリーナ「だから、1分の遅刻をする度に5000円の罰金なんてありえないルールだわ。あなた、そんな会社に勤めたいと思う?」 高木社長「それは……」