米、ウクライナ支援継続へ資金確保と兵器生産に注力 安保協定署名も
【ファサーノ(イタリア南部)=坂本一之】バイデン米大統領はイタリア南部プーリア州の先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、ウクライナ侵略への制裁で凍結したロシア資産の活用を軌道に乗せ、ウクライナ支援への新たな財源を得たい考えだ。戦争が長期化する中、支援継続に必要な兵器生産の強化にも注力している。13日はウクライナとの安全保障協力に関する協定に署名、侵略を続けるプーチン露大統領を牽制する。 【写真】G7サミットに出席するため、イタリア南部の空港に到着したバイデン米大統領 バイデン氏は、各国による対露制裁の凍結資産が生み出す収益を活用することで、ウクライナの防衛や復興を支える新たな財源の確保を図る。 欧米では長期化する戦争で「支援疲れ」が表面化しており、支援継続に反対する世論が強まれば軍事、復興の両面で支援が停滞する恐れがある。 バイデン氏は最大の軍事支援国として各国の兵器供与を牽引してきたが、昨年10月に米議会に求めた追加予算の審議が共和党の反対で難航。予算は今年4月に成立したものの、一時は財源枯渇で支援が停滞する事態に陥った。 今月7日に訪問先のパリでウクライナのゼレンスキー大統領と会談した際には、予算成立が遅れたことなどを踏まえ「おわびする」と語った。安定した支援継続には財源拡充が欠かせない。 ただ、ウクライナの戦況は厳しい状況だ。米欧日などで対露制裁を行ってきたが、「ロシアは兵器を製造して戦闘を維持し、米欧の兵器支援が追いつかないぐらいだ」と米軍関係者は指摘する。 このためバイデン氏は企業と連携し砲弾などの生産を強化。日本を含む同盟国との協力を通して防衛装備品の生産体制の拡充も図っている。 また、対露圧力を強めるためサミット直前の12日、新たにロシア国内外の300以上の個人・団体を制裁対象とする追加制裁を発表。さらに、13日に署名する安保協力の協定で、支援継続への「米国の決意」をプーチン氏に示す。