完成すれば甲子園5個分の広さ 大阪「正蓮寺川公園」一部開園
府と市、阪神高速道路が取り組む「正蓮寺川総合整備事業」の一環
完成すれば甲子園5個分の広さ 此花「正蓮寺川公園」一部開園 撮影:岡村雅之 編集・ナレーター:柳曽文隆 THEPAGE大阪
大阪市此花区内で進む正蓮寺川公園建設工事の一部区間工事が完了し、開園記念式典が2日、千鳥橋の東側で開かれ、区民らが園内を散策して喜びをかみしめた。大阪府と大阪市、阪神高速道路が取り組む「正蓮寺川総合整備事業」の一環。水質が悪化した正蓮寺川で、高速道路のトンネルを河道地下に構築し、河川も地下に埋設するとともに、地上部分を公園として整備する壮大なプロジェクトだ。区民長年の悲願が一部ながらようやく実現した。 【拡大写真付き】消えた川や内海はどこへ? 地名でたどる水都大阪の原風景
地下に高速道路&川がある都市型公園
正蓮寺川公園は、正蓮寺川の河道を利用して建設された阪神高速道路淀川左岸線の上部空間を有効利用して整備。地下の高速道路を車が行き交い、地下には川も流れるという河川・道路・公園がセットになった三位一体整備の都市型公園だ。全体計画面積18.8ヘクタールで延長約2.6キロ。千鳥橋から東側の約1.4ヘクタール、延長約230メートル部分が先行して開園の運びとなった。 式典には地元関係者や地元選出議員らが出席。前田昌則此花区長があいさつし、「正蓮寺川公園が完成すれば、甲子園5個分に相当する広さを誇り、大阪市内で5本の指に入る公園になる。しかも公園は区内中心部を東西に貫いているため、多くの区民がどこからでもアプローチしやすい」と、公園の特色を報告。 「区役所内に事業戦略課を新設した。区民の声を聞きながら公園を活用したまちづくりに取り組んでいきたい」と、新公園をベースとした地域活性化の本格推進に意欲を示した。
住民「ここは海水と淡水が混ざり合うところ」
住民代表であいさつした宮川晴美区地域振興会会長がマイクに向かい「ジェーン台風が来たころまで、正蓮寺川はきれいな川でした」と、昔話を披露。 ジェーン台風の襲来は1950年で、大阪市内湾岸部も被害に見舞われた。宮川会長は「記念式典を開いているここらが、海水と淡水が混ざり合うところ。台風の影響でフグやらサヨリやら、大きなコイやらフナやらが見つかり驚いた。四手網が並ぶ漁の様子は春の風物詩でした。子どもたちが橋から飛び込んで下流まで泳いだ」と懐かしみ、地元関係者の共感を呼んだ。 その後川の汚染が悪化したが、宮川会長は「先人たちが行政に掛け合い、総合整備事業を立ち上げていただいたおかげで、本日の開園式を迎えることができた。先人たちに感謝し、公園を利用して地域のコミュニケーションを図っていきましょう」と呼びかけた。 記念植樹ではソメイヨシノが植えられていた。将来は、花見の新名所となるだろうか。
将来的にはUSJに訪れる観光客にも来てほしい
近世から近代にかけて商都の水運を支えてきた正蓮寺川。昭和30年代後半から水質悪化が深刻化。区民らは試行錯誤を経て決定した総合整備事業プロジェクトの行方を見守ってきた。60代男性は園内で「この日を待っていた」と話す。 「将来的にはUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を訪れる内外の観光客にも、正蓮寺川公園へ足を伸ばして楽しんでもらいたい。華やかな桜並木などの工夫をすれば、世界的な公園にできるのではないか」と、夢はふくらむ。全面開園は数年先の見込み。詳しくは大阪市此花区役所の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)