渋谷にNBAレジェンド上陸…レイ・アレンが河村勇輝や少年少女に伝えた“大事なこと”
■「High Fiveが大事だって知ってる?」
イベントは金王橋広場にある屋外コートへ移り、5歳から18歳を対象にしたバスケットボール・クリニックも開催された。参加者がウォームアップを終えると2人1組になってフロントチェンジ、バックチェンジ、レッグスルーをする際にそれぞれ相手の手をタッチし、ハンドリングのメニューをこなす。その後は後方から股の下を10回通した後にドリブルで進んでいき、リング下でストップしてショットを放っていった。 屋外コートにアレンが現れると、現役時代と同様の美しいシューティングフォームからフリースローを放ち、会場にいた人たちの視線を一斉に集めた。まずは参加者一人ひとりがフリースローを2本放っていき、決まったら拍手2回、外れても1回拍手をしてコーチ陣と参加者の一体感が増していく。 続いてベースラインから進行方向とは逆へステップを踏み、スクリーンを経由してジャンプショット、今度はトップ下からリング下へ走り込んでフェイクをかけて左右どちらかに進んでパスを受け取ってウイングからジャンプショットを繰り出す実践形式のメニューをこなし、最後は再びフリースロー2本を放った。 そこでアレンはクリニックへ参加した子どもたちへ“High Five”(ハイタッチ)の重要性を語っていた。「みんな、High Fiveがとても大事だって知ってる?チームメートたちとHigh Fiveをしたり、肩の上をポンポンとたたき合うチームの方が、勝率は高くなるというデータもあるんだ。だから自分のチームの子が良いプレーをしたらHigh Fiveをしてあげてほしい。僕たちも最後に今日の出会いにHigh Fiveをして終わろう」と語りかけ、コーチ陣も含めて「1・2・3、NBA!」と全員で声を出し、記念写真を撮影してクリニックを終えた。
■ 歴代最高シューターを作り上げた練習法
イベントを終えたアレンはメディアとの囲み取材にも応じた。練習をするうえで意識していることを聞かれると「コンディショニングだね。疲れると近道をしてしまう。そうならないためにコンディショニングを大事にしないと。バスケットボールと私生活の体勢は全く違うものだから、バスケットのような無理な体勢でも疲れないように、コンディショニングを整えていくことが重要」と口にしていた。 NBAで18シーズンを戦い抜いたアレンは、キャリア初期には身体能力の高さを駆使してドライブから強烈なダンクを軽々とたたき込む場面も多々あった。キャリアを重ねて、移籍もしたことで役割が変わっていき、そのシュート力に磨きをかけて歴代最高のシューターの1人と評される選手へと進化。 では、シューティングをするうえで、アレンがメンタル面で重要視していることは何なのか。NBAのレジェンドはここでも“コンディショニング”を挙げていた。 「コンディショニングが一番大事だと思っていて、練習に取り組む時とかも、できるだけ自分の居心地が悪くなるような状況を作り出すようにしている。本当に疲れて、足の感覚もなくなるような状態になったくらいで、そこからさらにトレーニングする。試合になると相手選手につかまれたり、どこかが痛いとか、そういった状況になるから、練習でどれだけその状況を再現して取り組んでいるかが重要なので、コンディショニングを大事にしつつ、トレーニングすることを意識している」 2013-14シーズンを最後にNBAから離れたアレン。現役ラストゲームから10年が経つものの、来月49歳を迎える人とは思えないほど現役時代と同程度の肉体をキープし、一つひとつの質問に対して親切かつ丁寧に答える姿が印象的だった。 取材・文=秋山裕之
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