２０２０年甲子園高校野球交流試合第４日の１５日、履正社は第１試合で星稜（石川）と対戦。序盤に大量得点を挙げ、追加点を重ねて１０―１で快勝した。星稜は、昨夏の甲子園決勝で熱戦を演じた因縁の相手。勝利が決まると、選手たちは涙を浮かべて宿願の甲子園で校歌を歌った。【隈元悠太】 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 　履正社は、準決勝までで１０日に閉幕した府高校野球大会でも、強豪・大阪桐蔭を破って２強入り。黒星知らずの全勝で、この夏を締めくくった。 　一回、先頭の池田凜選手（３年）が内野安打で出塁すると、中田陽志選手（３年）が三塁線を破る二塁打で続き、敵失に乗じて先制。この回２点を挙げた。 　その裏、星稜に１死二塁の好機を作られたが、岩崎峻典投手（３年）が続く２人を三振と捕飛に打ち取る好投。チームは士気を高めた。 　二回の攻撃は、２死二、三塁から中田選手が９球目まで粘って四球を選び、満塁に。小深田大地選手（３年）、関本勇輔選手（３年）の連打など、打者１１人の猛攻で一挙６点を追加した。 　七回にも中原雄也選手（３年）の左越え適時打で１点を追加。さらに九回２死二、三塁から中原選手が俊足を生かしたセーフティーバントで追加点を重ねて、星稜をねじ伏せた。 ……………………………………………………………………………………………………… 　■熱球 　◇亡き父に見せたい一打　両井大貴選手（３年） 　「打席の中では迷いなく振れ」。二回、５点リードの２死満塁で、打席に入ると生前の父の声が頭をよぎった。３球目の低めのスライダーを捉えると、打球は右前に飛んで２点適時打に。６、７点目を挙げて星稜を突き放した。 　部内では副主将を務める。寡黙だが真面目にこつこつ練習する背中で、選手たちをまとめてきた。 　高校・大学で野球部だった父・伸博さんの草野球に同行して、バットを握るようになったのは小学２年のころ。休日ごとにグラウンドに連れて行ってもらい、野球の面白さに没頭した。履正社を志望したのも、父と「ユニホームがかっこいい」と話したのがきっかけだ。しかし、いざ入学して「さすが名門校」と驚いたのは、チームの仲間たちの体格の立派さ。負けないようにと、帰宅後の練習に励んだ。伸博さんはいつも、ティーバッティングを手伝い、応援してくれた。 　大好きな父が急逝したのは２０１８年１２月。くも膜下出血だった。前日の朝に交わした「行ってらっしゃい」が最後の会話になったという。 　「甲子園で天国の父に、良いバッティングを見せたい」と意気込んで臨んだこの日。最高の結果に歓喜した。「（父も）見に来てくれていると思う。次の舞台でも頑張ると伝えたい」。万感の一言は、穏やかな笑顔だった。【隈元悠太】 ……………………………………………………………………………………………………… 履正社 　　２６００００１０１＝１０ 　　００１００００００＝１ 星稜 　（履）岩崎―関本 　（星）荻原、野口、安土―内山 ▽二塁打　中田（履）